テクノロジーの進化と共に複雑化するシステムやアプリの使いにくさに、私たちは日々ストレスを感じています。今回は、万博の予約システムを例に、現代のデジタルサービスが抱える「使いづらさ」問題と、世代を超えて誰もが使いやすいUIデザインの重要性について考えてみたいと思います。
日々の暮らしの中で、複雑なシステムに直面することがあります。先進技術が進んだこの時代も、いや、この時代だからこそ、使いにくいシステムは僕たちの心の平穏を乱します。実際、万博の予約システムは、まるで迷宮のように感じられました。
万博を訪れるには、まず入場時間と場所の予約が必要です。その後、見たいパビリオン(私の場合は落合陽一さんのパビリオン)の抽選申込に進みます。この抽選は7日前に行われ、最初は5つの候補を選べますが、当選するのは1枠だけ。当初は優先順位通りに候補を並べましたが、後から「実際には1つしか確定しない」という事実を知り、予約できるパビリオンは結局1つに限られることに気づきました。
公式情報によると、予約枠は1日最大3つまで。つまり、予約が必要なパビリオンは1日でたった3つしか見られないのです。他のパビリオンを見るには当日予約に頼るしかなく、時間の管理も困難です。公式アプリを開いても必要な情報が見つけにくく、画面遷移が多すぎて直感的に操作できません。目的のパビリオンを予約するまでのハードルが非常に高いと感じます。
この問題は万博だけではありません。先日、取材で某社を訪問したとき、複雑なシステムに翻弄されたことを思い出します。入口ではQRコード提示が必須でしたが、そのQRコードがうまく認識されず、なかなか中に入れませんでした。結局、その担当者に連絡し、再度QRコードを送ってもらって中に入りました。そのあとエレベーターに乗って指定階に向かいましたが、乗るエレベーターを間違えて目的地に行けず、再度エレベーターホールに戻って乗り換えました。さらに受付にあるタブレットの操作を誤ってしまい、担当者に連絡することもできません。仕方なく担当者に電話して迎えにきてもらうという体たらくでした。
世代間の格差も気になります。スマートフォンは子どもでも使いこなしていますが、親世代、特に高齢者には大きな壁となっています。ガラケーまでは普通に使っていた方々も、スマホに乗り換えた途端、アプリごとに異なるUIに戸惑っているようです。どこをタップすればいいのか、どうスワイプすれば目的の機能にたどり着けるのか、操作方法の違いに混乱してしまうのです。
私たちが「シンプルでわかりやすい」と思うUIでさえ、デジタルネイティブではない世代には理解しづらいことがあります。UI自体の概念から学ばなければならない人々にとって、日々進化するテクノロジーは高いハードルとなっています。この現実は、テクノロジーの恩恵をすべての人が等しく受けられるわけではないことを示しています。
そんな中で注目したいのは、自動ドアのようなシンプルな仕組みです。扉の前に立つだけで開くという動作には、迷う隙がありません。説明不要で誰でもすぐに使える自動ドアの仕組みは、誰でもすぐに理解でき、使えるようになります。これこそ、理想的なUIと言えるでしょう。
多くの人が利用するサービスだからこそ、利用者目線に立ったシンプルで直感的なデザインが必要です。公式アプリや各種システムが無駄な操作や混乱を招く要素を取り除き、必要な情報に簡単にアクセスできるよう再設計されれば、私たちの生活はより穏やかになるはずです。
万博予約の経験を通じて、最新技術だけに頼るのではなく、「使いやすさ」という重要な要素も忘れてはならないと実感しました(予約システムに翻弄された僕のただの愚痴みたいになってしまっていますが…)。
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