昨日、刑事コロンボの「特選 刑事コロンボ 完全版「二つの顔」【日本語吹替版】 [VHS]」を見た。コロンボはほとんど見ていたと思っていたが、これはまだ見ていなかった。ディアゴスティーニ様様である。
ストーリーは、残念ながらあまり冴えなかったが、コロンボが被害者の家の家政婦さんに謝るシーンが大変よかったので、備忘録として書いておこうと思う。家政婦は、コロンボがタバコの灰を床に落としたり、勝手に洗面所を使ったりすることに大変腹を立て、「出ておいき、この野蛮人!」とののしった。このときコロンボは、急いで家政婦の後を追い、彼女にこういった。
あなたが大事にしているこのお屋敷を汚してしまって申し訳ない。どんなにあなたが怒っているか、私にはよくわかる。私はどうもだらしない性格で、こういうことをしてしまう。治さなければいけないとは思っているのだけれど、なかなか治らない。本当に申し訳ないと思っている。だけど、よく考えてみてほしい。私はあなた自身に対し、ひどいことは何もしていない。あなたの大事なご主人様を殺害した犯人を見つけ出そうと頑張っているのに、その私を目の仇にして追い出すというのは、ちょっと違うのではないだろうか。
細かいところは違っているかもしれないが、だいたいこんな風なことを言っていた。この言葉を聞いて、家政婦は思い直し、コロンボに手作りのクッキーをご馳走した。
かねてから私は、人は失敗したときにこそ真価を発揮すると思っていた。ミスをしたとき、いかに上手に謝れるか、いかにそのミスをリカバリーできるかが、その人の価値を決めると思っている。たとえば誰かを怒らせてしまったとき、いかに相手を納得させ、許してもらうことができるのか。コロンボのやり方は、大変素晴らしい。まず、相手の気持ちになってその怒りを十分理解し、受け止めた上で、「でも私の立場もわかってほしい」と、自分の事情を説明する。誠心誠意謝りながらも、決して卑屈にならず、自分の言い分もきちんと相手に伝えるなんてことは、なかなかできるもんじゃない。やっぱりコロンボ、ただものではない。私も彼を見習おうと思う。