さきほど無事ゴールした大塚範一キャスター。15時間、自転車で走り続けるつらさは、あの笑顔だけ見るとピンとこないけれど、きっと凄まじかったに違いない。ましてや、御年59歳! 小田和正は、大塚さんより1歳年上だそうだ。つまり、もう還暦である。彼ら二人の会話が、なぜかとても心に染みたので、備忘録としてここに書いておこうと思う。
大塚:いよいよ還暦と。なんかこうね、いろんなことが切なくてしょうがない。
小田:切ないのはね、もうしょうがないからおいておいて。生まれてきたという宿命を背負ったからには、やっぱりきっちり誇りをもって終えていくしかない。切なくなっては駄目、後ろを振り向かないで。
大塚:自分で自信を取り戻していくという作業なんだよね。
最後の大塚さんの台詞は、うろ覚えなのでちょっと怪しいけれど、その前の二人の会話は書き取ったので間違いないと思う。なるほど、還暦を前にするとみんな切なくなるのかと。私はそれまでに、どれだけのことができるのだろうかと。
一方、ガンの転移がわかって入院した忌野清志郎は57才。もちろん当人でないから想像しかできないけれど、彼はまだ「切ない」境地には立っていないように見える。昔から続いている道を、無心に走り続けているような生き方だ。それもきっと人柄で、私は決して彼のようには生きられないという自覚があるからこそ、彼のような人に憧れる。後ろも前も関係なく、ただ今の自分を生きることのみに集中するということが、どれほど難しいことか。