9月30日にもテレビに出ていたというのだから、生涯現役を体現したような人だ。それからわずか5日間で、帰らぬ人となった。好きな役者だっただけに、とても残念だ。
緒形拳といえば、「楢山節考」や「復讐するは我にあり」など数々の代表作があるが、ミステリファンとして、あえてこれを書いておきたい。
黒岩博士演じる緒形拳の怪演ぶりが、とても印象的な作品だった。無口で人好きがせず、何事にもまったく動じない男、黒岩博士。無愛想この上ないが、古畑にしつこく絡まれたとき、ちょっとした悪戯をしかけて嬉しそうに笑った、その笑顔のかわいらしさにはドキっとさせられた。学校の廊下で「逮捕するならやってみろ」と大声で啖呵を切り、豪快に笑うシーン*1も、ああ緒形拳らしいと感心した覚えがある。
彼の私生活についてはほとんど何もしらないが、先ほど見たニュースによると、津川雅彦は、ブログの中で、緒形拳の最期についてこう語っているそうだ。
「お前身体大事にしろよ! 良い映画沢山創ってくれよな! 治ったら、うなぎ喰いに行こうな、白焼きをな」と冗談を交えながら医者に危篤を宣言されてる患者とは思えない口調で、明るく語った
これもまた、とても彼らしいと思ってしまった。
追記:緒形拳さんの名前を「緒方拳」と誤記してしまい、修正しました。はてなキーワードによると、とてもよくある誤記らしい。本当にごめんなさい>緒形さん。