先日ちらっと予告していたのは、実はこのことだった。本日、ようやくAppleの審査が終わり、マイカ発第一弾iPhone用電子書籍の発売が始まった。第一弾は、かの幻の名作「プロジェクト・パーム」だ。
この電子書籍ブラウザは、かつてPalm時代に活躍したプログラマ、陰郎さんから「ぜひ、iPhone版をつくりましょう!」とお申し出があり、そのご好意に甘えて開発していただいたもの。今回のご提案の背景には、同じくPalm時代に活躍していたプログラマ、eyeさんの存在もあった。eyeさんがプロジェクトパームの電子書籍をみて、「これをiPhoneで読めるようにすればよいのでは」と思いつき、陰郎さんに連絡してくださったそうだ。つまり、多くの人たちのおかげで、このたび出版が実現したのである。
本書の著者は、Palmユーザで知らない人はいない、あの「Palm航空」の「機長」である。機長は、本書の執筆に、なんと10年もの月日をかけた。その間、一度アスキーの「Palmマガジン」で告知されていたから、おそらくこのタイトルも多くの人の記憶に残っているだろう。当時、多くの人が出版を待ち望んでいた本書だが、諸般の事情により出版が先送りになり、やがて日本にPalmが存在しなくなったことから、機長が情熱を傾けて仕上げたこの作品は、完全に行き場を失っていた。
その幻の名作が、今、電子書籍と出会い、携帯電話とiPhone/iPod touchで読む本として誕生した。Palmという手のひらサイズの端末が衰退した後、そのDNAを引き継いだiPhone端末で改めてPalmの歴史を読むというのも、なかなか不思議な感覚だ。この夢のような企画が実現したのも、電子書籍という新しい出版形態がここまで広がったおかげだと思う。こうして、機長のライフワークといっても過言ではない素晴らしい作品を、ずっと待ち続けていた読者のみなさんにお届けする役割の一端を担えたことを、大変誇りに思っている。本当に、今日ほど「電子書籍の出版社をやっていてよかった」と思ったことはない。
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