テンションが低いまま、一日が終わった。といっても、特別悲しかったわけでも、苦しかったわけでもない。たぶん、いろいろ気が張っていたのが、一気に抜けたのだろう。とにかく頭が回らない。あれもこれもやらなくちゃと思っていたのに、何をやるにもいつもの倍ぐらい時間がかかる。おかげで、はんぺんを焼こうとして、間違えて熱したフライパンの上に指を置いてしまっても、しばらく気がつかなかった。
ただ、悪いことばかりではない。こういうときは余計な雑念がないので、淡々と目の前の作業を続けることができる。取材記事は集中して書けたし、思いのほか品数の多い夕食が用意できた。普段なら見逃してしまうような汚れが気になって、つい細かいところまで拭き掃除をしてしまった。意識がないままやっていたので、あまり苦もなく仕上がった。うん、たまにはこんな日があってもいい。