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続・電子書籍にあうデバイスとは

 お約束通り、昨日の続きを。

 PDAなき今、出先で電子書籍が読めなくなると思っていたら、携帯電話がそれにとって代わった。ケータイメール文化に親しんだ世代が「魔法のiらんど」の恋愛ストーリーを読むようになり、電子書籍市場のメインストリームはケータイユーザーになった。また、ワンセグが流行したことから、ケータイの画面サイズはどんどん大きくなっていき、一画面に表示される情報量は増えていった。こうしたことから、電子書籍市場は一気に拡大していった。

 時流に習い、私もケータイで電子書籍を読むようになった。しかし、悲しいことに少し老眼が始まっていた私の目には、ケータイの文字は少し小さすぎた。幸い、電子書籍は文字サイズを変えることができるが、この目でも不自由なく読めるサイズにすると、一画面の情報量が少なすぎてスクロール操作がやたらと増える。それもまた、あまり現実的ではないような気がしていた。これは決して私だけの意見ではない。私の知人(つまり、みんな似たりよったりの年齢なのだが)は、異口同音に「ケータイの文字は見づらい」と言っている。

 ところで、この年齢で読みにくくなるのは、ケータイの画面だけではない。実は、文庫本も少々つらい。私は近眼なので、メガネをはずせばそれなりに見える。しかし、ずっと目がよかった人が老眼になると、老眼鏡がなければ字が読めなくなるそうだ。かといって、本を読むためにメガネをかけるのは煩わしい。「だから、だんだん本を読むのが苦痛になってきて」とのことだ。これは、大変にもったいないことだ。同じ本でも、20〜30代前半では読み取れなかったことが、それ以降の年齢になると読み取れるようになることは多い。その年になって本離れしてしまうのは、実に残念だ。

 前述の通り、電子書籍は文字のサイズが変えられる。ケータイの小さい画面で文字サイズを大きくすると、情報量が減って読みにくいが、それなりに大きいサイズの画面であれば、文字を大きくして読むと大変に読みやすい。たとえば最近話題になったキンドルの場合、画面サイズは1200×824ピクセル(キンドルDXの場合)ある。そして、文字サイズも変えられる。うちにあるキンドルは6インチサイズだが、これで文字サイズを大きくしても、普通の本と同じように十分読める。これなら、もっと老眼が進んでも、苦労せずに読書を楽しむことができそうだ。

 ただこのサイズだと、持ち歩きは少々不自由だ。薄っぺらいし軽いから、カバンに入れて持ち歩くなら問題ないが、ポケットに放り込んでぶらっと出かける…という用途には不向きだ。では、ポケットに文庫本を突っ込む感覚で電子書籍での読書を楽しむには、どういうデバイスがいいのだろうか。わたしの中で、それはやはりPDAだった。そして、そのPDAの立ち位置にとって代わる存在が、APPLEから発売されたiPhone/iPod touch(以下、略してiPhone)だった。

 iPhoneは、まんまPDAサイズで、しかも本体に通信機能を備えている。まるでケータイのように、オンラインの書店(aqp store)で本を買い、そのまま読むことができるのだ。つまり、ケータイの利便性を備え、電子書籍を読むのに十分な液晶サイズを実現した、いわば(私にとって)理想の電子書籍ビューアなのである。ところが残念なことに、現在のapp storeには、あまり電子書籍コンテンツが販売されていない。ざっとみると、品数は豊富なのだが、ほとんどがコミックかグラビアで、文字を中心としたコンテンツが非常に少ないのだ。仕方なく、青空文庫ビューアを片っ端から買って読んではいるものの、これだけではさびしい。もっといろんな本が読みたい!

 ないんだったら、作ればいい!ということで、まずはマイカが出版している電子書籍をどんどんiPhone用電子書籍に作り直し、app storeに投入していくことにした。最初に出したのは、「iPhone用の本を作って!」という要望が一番多かった「プロジェクト・パーム」だ。この作品はコアなファンが多く、出した早々にどんどん売れた。ランキング一桁台に入ったときは、思わずわが目を疑った。読者の反応も、とてもよかった。もちろん、ほとんどの読者が、かつてのパームユーザーだろう。しかし中には、私のように「ずっとiPhoneで読める本を待っていた!」という人もいたかもしれない。この反応を見て、わたしは改めて思った。「やっぱり、iPhone用電子書籍は必要だ」と。

 APPLEは成人向け作品は扱わないから、マイカの電子書籍の中で成人向けでない作品を選び、今、少しずつiPhone用に作り替えている(ちなみに、マイカの電子書籍ラインナップはこちら。成人向けタイトルが多いので、職場でのアクセスにはくれぐれもお気を付けください)。昨日、iPhone用電子書籍専用のサイトも用意した。公開した作品は、全部こちらで紹介していく予定なので、もし興味がある方はこのサイトをブックマークし、ぜひ定期的にチェックしていただきたい。

 ところで、今一番困っているのは、app storeのジャンル分けで「電子書籍」と「コミック(グラビア)」がいっしょになっていることだ。今の状態だと、ランキングの上位はほとんどコミックとグラビアで埋められてしまい、電子書籍の新刊が出ても全く表に出てこない。しかし、今後、もっと多くの出版社がapp storeに進出すれば、電子書籍とコミックはジャンルを分けてもらえるようになるだろう。

コメント (5)

BloodOcean:

例えば、リアル書籍と電子書籍とは競合させない方向でとか。
昨年の夏に小畑健さんデザイン表紙の人間失格読んだ時は、家ではリアル書籍で読み、外では青空文庫の携帯アプリで続き読んで、帰ったら携帯で読んだ続きを読むのループをしてました。

BloodOcean:

リアル書籍のページ数の横の余白あたりに、小さなQRコードを設けて、対応アプリで読み取ったら、検索、購入、自動ページ送りし、続きのページから読む技術があったら、融合できるかも。

エピゼマ:

個人的には、両方をセットで販売してほしいです。

家など落ち着いて読める場所では、リアル書籍で読みたいし、いい本なら仲間で回し読みしたい。移動中は電子書籍で読みたい。

リアルを買ったら、電子のダウンロード権利がついてくるとか。

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