走殿(楠田文人)

電子書籍

おそらくマイカ文庫での出版数最多作家、楠田文人さん。「鼻先案内犬」シリーズや「深大寺線物語」シリーズでは本格ミステリを、「妄想非化学小説」シリーズや「ネオ昭和」シリーズでは「世にも不思議な物語」世界を、「ガロルフ」シリーズではファンタジー物語をと、幅広いジャンルで多彩な才能を発揮しています。

今回ご紹介するのは、楠田さんのコミカルな作品、「走殿(はしりどの)」。生まれて一度も走ったことのない殿が、走る飛脚の姿にすっかり魅了されてしまいました。挙げ句、「爺。余は走りたくなった」と言いだしたものだから、お城中が大騒ぎ! 「殿を走らせる」という一大プロジェクトがスタートします。さてさて、これまで走ったことのない殿は、果たして走れるようになるのでしょうか……?

ただ「走る」ことを、天真爛漫に楽しむ殿の姿がとても印象的。「走る」なんて、誰でもすぐにできることではありますが、殿に感情移入して一緒に走ってみると、それがなんとすばらしく感じられることか! また、殿のために尽力するお城の人たちの気持ちが、なんとありがたいことか! 読んだあと、ほんわか幸せな気持ちになる一冊。日常生活がマンネリ化して楽しめないという人に、ぜひ読んでいただきたいです。

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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