「キャンピングカーで暮らしている人がいる」と聞き、好奇心がそそられました。しかも、その人は女性とのこと。女性がひとり、北は北海道から南は九州まで、全国を走り回っていると聞けば、どうしても会いたくなる。そこで、私から「お会いできませんか」と声をかけたのが始まり。それから毎年、秋になって彼女が関東近辺を走り抜ける頃に会いに行くことになりました。年に一度しか会えないけど、ずっとSNSで生活の一部をのぞき見しているせいか、とてもそんな気がしない。いつも「この前食べていたあれ、美味しそうだった〜!」みたいな話で盛り上がっています。
彼女はとても文章が上手で、実は某誌ではライティングの仕事をしているとのこと。それならば本を書いてみない?と声をかけ、すでに3冊、マイカから電子書籍を出版しています。 第1作「キャンパー生活はじめました」では、キャンピングカー生活をはじめるきっかけとなったバックボーンを、「キャンパー生活はじめました<実践編>」ではキャンピングカー生活における日常的な必要事項を中心に 書いてもらいましたが、第3作にあたる「キャンピングカー放浪旅生活 終の棲家は自走式」では、作者である松本周己さんが感じた「キャンピングカー生活の今後」を中心に執筆。よりリアルなキャンピングカー生活が伝わる内容になりました。
以下、本書の一部を抜粋。著者の基本的な考え方が見え隠れする文章だと(私は)思っています。彼女の底知れない力強さは、このあたりにあるのかもしれない。
キャンピングカー生活を続けることは、旅人であり続けること。旅人は未知の世界を象徴し、独創的だからこそ面白い。
世捨て人っぽいのも面白いと思いますが、社会と隔絶して生きることはできません。政治に文句を言ったって社会の恩恵にあずかって生活していることは事実です。若い頃は、そんなふうに考えもしなかったけど、これもキャンピングカー生活という未知の世界を実践したから実感できたことのひとつです。
刹那的に生きることからの脱却、それがわたしにとってのキャンピングカー生活の最終目標なのかも知れません。つまりはキャンピングカーを下りるとき、次なる目的を見つけたとき、それがまさに地に足をつける瞬間なのかも。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」
同じ水である必要はなく、むしろ変わり続けることが人生なのだと、この詩は物語っている気がします。
後戻りはできないこと、その道筋を残すこと。清濁あわせ呑む、力強さを内包すること。
表面的ではなく内面的に。
生まれ変わり続ける大河であれ、と。
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