まずは一度、深呼吸して落ち着きましょう
前回記事「【知識のワクチン】日本の感染は拡大するか? 感染防止戦略を考える」にて、COVID-19の感染には特徴があり、その特徴に従った感染予防戦略をとるべきことをお伝えしました。重要なことなので再掲しておきます。
- ハイリスク者=60歳以上の高齢者・基礎疾患患者・妊婦およびその同居人:通常の人より重めの感染予防対策を行う(後述)
- 40歳以上の成人:通常のインフルエンザ予防対策に加えて免疫力向上対策を同時に行う。
- 14歳以上39歳未満の成人:通常のインフルエンザ予防対策を行う。
- 14歳以下の子供:罹患の心配は少ないが、医療体制に負荷をかけないためにも通常のインフルエンザ予防対策を行う。
そして具体的には、年齢別・リスク別に感染予防対策を3段階で実施すべきと考えております。
- 子供はほとんど罹らない(感染予防対策ステップ1、後述)
- 40歳未満の人にとってはそのあたりの風邪と変わらない(同上)
- 40歳以上の人は免疫力が弱っているので気をつける(感染予防対策ステップ2)
- 高齢者・基礎疾患患者・妊婦は命に関わるのでしっかり対策する(感染予防対策ステップ3)
そして罹患に気づかない軽症者・無症状者が多いと予想されているCOVID-19の感染拡大において、差し迫った危険はここにあると考えています。
「市中感染していて無症状のまま生活している陽性患者と近い距離で会話していると、それだけで濃厚接触となって感染する可能性がある」
これに対してどのように対策していくかを以下にご紹介します。
子供と40歳未満の方向けの予防対策(感染予防対策ステップ1)
まずは子供と40歳未満の方向けの予防対策をお伝えします。よくインフルエンザ対策として「手洗い・うがい」と言われますが、もう少し細かくお伝えします。
インフルエンザウィルス(COVID-19も同様)はどこから侵入すると思いますか? それを知るために、三箇所で細菌・ウイルスの数を比較してみましょう。
食品を作る際の衛生規準「HACCP(ハサップ)」の検査方法「ATP拭き取り検査」で細菌・ウィルスの数を比較した結果がこちらです。
- 机10cm四方の上:約1,000個
- 机の下の床10cm四方の上:約1,000個
- 手10cm四方:約1万〜2万個(朝から晩まで一度も手を洗わないと5万個)
もうおわかりかと思いますが、インフルエンザ(COVID-19も同様)は自分の手から罹患する可能性がもっとも高いと筆者は考えています。つまり、電車のつり革やエレベーターのボタンなど、多くの人が触れて細菌・ウィルスが貯まっている場所から自分の指にインフルエンザ・ウィルスを拾ってしまい、その指を洗いも消毒もしないまま、口・鼻・目などをこすって感染してしまう、という訳です。
私はこれを「自己接触感染(注意:筆者の造語)」と呼んでいます。これを防ぐ方法は大きく3つです。
- 感染予防対策A 手指をこまめに消毒する、または汚染されていそうなモノに直接触らない
- 感染予防対策B 屋外に居るときは顔に直接触れない防護をする
- 感染予防対策C 万が一ウィルスが入ったときに備えて、こまめにうがい、または水を飲む
解説します。
感染予防対策A 手指をこまめに消毒する、または汚染されていそうなモノに直接触らない
手洗い・消毒の解説はいまさら不要と思いますが、米国CDCの手洗いのガイドがとてもよくできているのでご参考までにどうぞ。あと、手指の消毒剤が売り切れているいま、消毒よりも「直接触らない」ことも有効と考えています。
外出するときは使い捨てのゴム手袋を装着して電車などに乗り、目的地に着いた後は外して捨てる方法が良いでしょう。オーダーの際はサイズにご注意ください。
使い終わった手袋に触ったら意味がないので、小型のジップロックを持ち歩いて、使用済みのものを捨ててください。
感染予防対策B 屋外にいるときは顔に直接触れない防護をする
市中ではマスクとゴーグルが売り切れているようですが、顔を触らなければ良いだけなので、伊達メガネとバンダナで十分と考えています。
実は感染予防対策としてのマスクの有効性については議論があり、米国CDCも「一般論としてマスクは推奨しない」という立ち場を取っています。ウィルスですら通さない医療用のN95という高性能マスクもありますが、これは専門家による装着方法の研修を受け、なおかつ装着後のフィットテストをしないと素人が使いこなせるものではありませんのでお勧めしません。それよりも汚れた手で顔を触ることを避けるほうがよほど効果的ですので、さっそく励行してください。
ちなみに安価で大きく色も豊富なバンダナもたくさん売っています。マスクがなければこれを使いましょう。移動に合わせて数枚持ち歩き、使い終わったらジップロックに入れて持ち帰り、洗濯しましょう。WHOによれば、環境面に付着したコロナウィルスが生き残っているのは数時間程度ということなので、これで十分です。バンダナを外した手を洗うことも忘れずにお願いします。
感染予防対策C 万が一ウィルスが入ったときに備えて、こまめにうがい、または水を飲む
万が一、ウィルスが喉に入った場合でも、水で流せば有効と考えられています。インフルエンザ・ウィルスの場合は、喉の表面に装着して感染するまでに20分前後と言われています。外出の際はペットボトルを持ち歩き、こまめに水分を摂ると良いでしょう。念のため、屋内に戻った場合はうがいをしましょう。
次回は、40歳以上の人が知っておくべき「感染予防対策ステップ2」を解説します。
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