【知識のワクチン】#05 40歳以上の対策(感染予防対策ステップ2)

新型コロナウィルス対策

感染症対策の基本は「免疫力を少しずつ上げる」こと

前回記事「【知識のワクチン】#03 子供と40歳未満の方の感染予防対策(ステップ1)」にて、もっとも基本的な感染予防の方法をお伝えしました。実はその手前にやるべきことがあります。これは一朝一夕に成果が出る対策ではないので、本来は非常時になってから行うのではなく、平時からやっておくべき対策なのですが、免疫力が下がり始めている40歳以上の方にはぜひ今からでも実施していただきたいと考えています。

最初に下の図をご覧ください。これは筆者の考える予防ステップ0(ゼロ)〜ステップ3までを並べたものです。「予防ステップがゼロとはおかしなことを言う」と思われたかもしれませんが、感染症対策の基本中の基本は、免疫力を備えることにあります。言わば予防のもっとも基礎になる部分なのでゼロと呼んでいます。

一口に「免疫力を上げる」と言っても、良く言われる対策は「よく眠る」とか「ストレスを避ける」など、漠然としていて掴みどころがありません。この記事では、免疫力を上げるために「誰でもできる行為」かつ「学術的に証明されている行為」をご紹介します。新型コロナで重症化する怖れがある40歳以上の人およびハイリスク者は、最悪の大流行に備えて、今からでも実施してください。

感染予防とは「感染確率を少しずつ下げる」こと

ウィルスは目に見えません。そのため、一つ一つの感染予防対策に効果があったかどうか、どれに効果があったのかは個人の努力では証明できません。だからと言って何もしなければ容易に感染することは想像がつきます。感染予防とは、図の右側下部にも書いたように、いくつかの行為を同時並行で実施して感染の確率を少しづつ下げることです。どれに効果があるかはわからないので、理屈として効果がありそうと思われる行為をご紹介していきます。

それでは、最初に予防ステップ0を解説したあと、予防ステップ2の対策を解説します。

感染予防対策ステップ0

予防ステップ0は、次の3つで構成されます。

【ワクチン】 新型コロナワクチンは開発待ち
【腸内ケア】 腸内細菌の状態で粘膜の免疫力アップ
【口腔ケア】 口腔内をきれいにすることで感染確率ダウン

【ワクチン接種】 新型コロナワクチンは開発待ち

一般的に、感染症に対するもっとも効果的な対策はワクチン接種です。しかしながら新興感染症には、当然のことながらワクチンはありませんので、開発待ちということになります。今後 COVID-19の診断法開発、ワクチン開発などに、厚生労働省では20億円以上の費用をかけて取り組む(下図)そうです。また最近のニュースでは、イスラエルの会社がワクチン候補の特定に成功したとの報道もありますので、朗報を待ちましょう。

【腸内ケア】 腸内細菌の状態で粘膜の免疫力アップ

筆者は、いまから10年ほど前に「ヤクルトを飲み続けているとインフルエンザに罹らない」という話を聞いたことがあるのですが、当時は「乳酸菌がインフルエンザを防ぐだなんて都市伝説だろう?」ぐらいにしか思っていませんでした。

ところが本当だったのです。乳酸菌やビフィズス菌などを適度に摂取して腸内フローラ(腸内細菌)を整えると、粘膜の抵抗力が増して風邪やインフルエンザにかかりにくくなるという研究結果がありました。

いったいどういうことでしょうか?

人間の口・鼻・眼などの粘膜には、外敵=ウィルス等の侵入を防ぐ免疫物質があります。その免疫物質は「IgA抗体」と呼ばれ、このIgA抗体は乳酸菌を摂ると腸内で増えることが解明されています。

詳しく知りたい方は、平成22年度日本酪農科学賞を受賞した論文「発酵乳プロバイオティクスの免疫調節機能および ウイルス感染症予防作用」をご覧になってください。ちょっと探すだけでも、このような論文が枚挙のいとまもなく見つかります。

実は筆者も、2019年末あたりから腸内フローラを整えようと思い、偶然にも新型コロナウィルス騒ぎが起こる前から、あることを始めていました。

ビオフェルミンのページに、腸内フローラのわかりやすい解説「腸内フローラって、何?」が載っていますので、ぜひ一度お読みになってください。

またボディメンテの紹介ページ「粘膜の免疫力を上げて体調管理はじめませんか」には、免疫に関する詳しい解説が載っており、たいへん参考になります。私自身はこれを読んで「B240乳酸菌ってすごい!」と思ったので、さっそくケースでオーダーして飲んでいます。因果関係の証明はできませんが、今年はまだ風邪らしい風邪も拾っていません。

【口腔ケア】 口腔内をきれいにすることで感染確率ダウン

予防ステップ0の最後に口腔ケアをご紹介します。これについても「口腔ケアを行うとインフルエンザに罹りにくくなる」という話を聞いたときには眉唾な気持ちだったのですが、本当でした。

論文「歯科衛生士が行う専門的口腔ケアによる気道感染予防と要介護度の改善」をご参照ください。この論文では、要介護者の口腔ケアをしたAグループと、しなかったBグループを比較し、Aグループのインフルエンザ罹患者は8.2%だったにもかかわらず、Bグループは25.5%に上ったことを報告しています。調べると他にも同様の報告があるため、都市伝説ではなく、本当に効果があるようです。

口腔ケアの一部は歯科医にお願いして、日常は歯と歯間の清潔を保ちましょう。

• 歯科医に行って歯のクリーニングをしてもらう。
歯石は細菌が棲みやすく且つ殺菌がしにくいため、重点的な対処が必要です。また自分では落としにくいので、プロにお願いして一掃しましょう。

ソニッケアなど電動動歯ブラシ等を用いて日頃からしっかり歯磨きをする。
歯石が残らないようしっかり磨きましょう。電動歯ブラシは手間がかからずに磨けるのでお勧めです。

口腔洗浄機等を用いて歯の間の除菌をする
これを初めて使ったとき、自分の歯間にどれほど雑菌がいるのかを思い知らされました。洗浄を行っているとき、自己嫌悪に陥るほどひどい臭いがして、ショックを受けました。以来、毎食後に利用する生活必需品になっています。歯ブラシが届く範囲は25%という説があります。歯間もしっかり洗浄しましょう。

薬用マウスウォッシュを用いてしっかり殺菌する
マウスウォッシュには口臭予防のマイルドタイプもありますが、今回の目的は「清潔に」なので薬用をお勧めします。小口のタイプもあるので持ち歩きましょう。筆者は毎日1回寝る前に、口腔洗浄機に水ではなくマウスウォッシュ薬用タイプを詰めて洗浄します。それでも朝にはまた雑菌が繁殖しているわけですから、この際、生活習慣にしてしまいましょう。

前述したように、腸内ケアと口腔ケアは目に見えて成果が出ることではありません。しかしながら研究の成果として立証されているので、40歳以上の方はぜひ生活習慣として今からでも実施していただきたいと考えます。

40歳以上の方向けの予防対策(感染予防ステップ2)

続いて、40歳以上の方への強めの感染予防について説明します。一言でいうと「触(ふ)れない」です。

医療や感染症対策の専門家が、医療現場で働くときは、ゴーグル・高性能マスク・フェイスガード・防護服・手袋・靴カバーで全身をガードします。ウィルス・細菌とのあらあゆる接触からガードしている訳です。

それに対して、我々の生活の中で使用する予防ステップ1としてお勧めしたのは、「手洗い」「粘膜のガード」「水飲みorうがい」でした。予防ステップ2では、ガードのステップを1段階上げて、ゴム手袋(ゴムアレルギーの人はノンラテックス手袋)の着用+持続除菌をお勧めします。

「持続除菌」とは聞き慣れない言葉だと思います。これは富士フィルムがテクノロジーで実現した新しい除菌方法です。同社が販売する「ハイドロ Ag+」は、アルコール+銀系抗菌剤+親水ポリマーの組み合わせにより、アルコールで除菌したあとも銀コーティングで抗菌作用が持続するという、優れものの除菌剤です。

同社のトライアルとして、神奈川県の12の学校で、テーブル・椅子・ドアノブなど子どもたちが触れる身の回りのものをハイドロ Ag+除菌剤で1日1回ひとふきする除菌活動を行ったそうです。その結果、インフルエンザ発症率は25%から10%まで下がり、学級閉鎖はなくなったそうです。

この製品は環境面の除菌用で、人体には使用してはいけない旨が明記されています。おそらくポリマーが皮膚の汗腺などに詰まるからだと思われます。そこで筆者はゴム手袋と組み合わせて「持続除菌ゴム手袋を常時使用」という方法を考えつきました。

ゴム手袋の本来の使い方は、例えば「外出するときに装着し、戸内に入ったら表面に触らないように脱いで捨てる」が正しいのですが、手袋とハイドロAg+を組み合わると「持続除菌ゴム手袋」が作れます。

筆者は、2020年2月半ば頃から、外出の際は常にゴム手袋を着用したまま、電車に乗り降りした後、ゴム手袋にハイドロAg+を吹きかけています。これはポリマーが膜を作るため、吹きかける回数が多くなると、その分だけ抗菌膜が厚くなるそうです。

また同時に、ドアノブ、テーブル、椅子の取っ手など、戸内の環境面への使用も励行してください。

問題は「手袋の中が抗菌じゃない」ことです。先日、朝から夜まで同じ手袋で過ごして帰宅したのですが、真夜中に手袋を外したところ、手指がベタベタしてくっつきました。おそらく手袋の内側で雑菌が繁殖しまくっていたのだと思います。大急ぎで念入りに手洗い+アルコール消毒したことは言うまでもありません。それ以来、日に3回は交換するようにしています。

#03の記事で記載した内容を含め、以下、まとめます。AからDまでは全年齢で行いたい対策ですが、Eは40歳以上でより強い感染予防をしたい方にお薦めしたい対策となります。

  • 感染予防対策A 手指をこまめに消毒する、または汚染されていそうなモノに直接触らない。
  • 感染予防対策B 屋外にいるときは顔に直接触れない防護をする。
  • 感染予防対策C 万が一ウィルスが入ったときに備えて、こまめにうがい、または水を飲む。
  • 感染予防対策D 【腸内ケア】+【口腔ケア】を励行(やり方は上記の通り)。
  • 感染予防対策E  ハイドロAg+ + ゴム手袋=持続除菌ゴム手袋で外出

Eについては、もちろんゴム手袋単体でも効果はあります。ただし顔の防護とセットで利用されることをお勧めします。また使用後に表面を触らないように脱ぎ、捨てることをお忘れなくお願いします。

次回は感染予防ステップ3を解説します。

秋月 雅史

人生の大半をITビジネスに捧げてきたが、起業してからは「自分が何屋」と言えない日々が続いているうちに本当に何者なんだかわからなくなった。いまは危機管理コンサルタント(本業)、ベンチャー取締役、Webブランディング会社マネージャーなどを兼業している。自称「丘にあがったセーラー」。帆船で世界中の夏を追いかける日々を過ごすことが目標。

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