このコーナーでは、テンソルコア代表・秋月雅史が最新の「感染拡大の現状」についてお伝えします。
ここでは、現在の状況を数字で示しつつ、その数字から読み取れる現状と分析結果を所感としてお届けします(情報は随時更新します)。2020/03/02現在の最新情報は、下記の通り。
ここで掲載しているのは、表に整理した形の最新情報です。以下、表の見方について説明いたしますので、ご一読ください。
感染状況の解説:
①全世界:全世界の感染者の合計。
②中国以外の国:中国以外の国の感染者。ほとんど死者がなく死亡率も低い。
③中国のみ:中国のみの感染者の合計。死亡率は3%以上の高いレート。
④中国・湖北省のみ:感染源となった武漢市がある省。
⑤中国・湖北省以外:湖北省(武漢市含む)以外の省の集計。
日本医師会の「一斉休校」の要請を受けて、安倍総理は全国の小中高校を休校とする施策を発表、併せて子供がいると働けない層に向けての金融施策を発表しています。批判もいろいろあるようですが、まずは国の方針に従って国民ひとり一人が生活の場で「できること」を実施していくべきと考えます。
読者のみなさまに安心材料をひとつお伝えします。次のグラフを見てください。
これは国立感染症研究所が発表しているインフルエンザ過去10年間との比較グラフ(2/25更新)です。ご覧の通り、2020年のインフルエンザ定点あたりの報告数は、例年に比べて半分以下です。これはつまり、マスクもアルコール消毒液も売り切れるほど日本人全員の公衆衛生意識が高まった結果、インフルエンザの発生が押さえられているという証拠を表しています。みなさんの日々の活動が正しかったという証しであり、また間違いなく新型コロナウィルスもこの行動で撃退されているはずです。安心してください。慌てず騒がず淡々と日常に根付いた衛生活動を行えば、必ず感染拡大は終息すると私は確信しております。
報道などでは「感染拡大を隠す意図で、実態を見えなくするために検査拡大を拒んでいる」などと過激に政府・行政を批判する記事も散見されますが、国立感染症研究所が発表したように国にそのような意図はありません。そもそも全数検査など行っても、検査の精度が100%でないことから偽陽性が必ず含まれるため、「偽陽性の健常者に医療リソースを割く」など、貴重な医療資源が無駄に蕩尽される可能性があります。ちなみにPCR検査については厚生労働省のQ&Aにも記述があるので読んでください。
新型コロナウイルスに関するQ&A(医療機関・検査機関の方向け)
ここ数日、「緑茶を飲めばウィルスが死ぬ」、「PCR検査を意図的に制限している」等の誤報だけでなく、SNSのデマが拡散した結果、市中のドラッグストアでトイレットペーパーが売り切れる等の社会騒動が全国で繰り広げられました。元となったTwitterの発信では「次に無くなるものを予想します」「中国からトイレットペーパーが入ってこなくなります」などと発言していましたが、実態としてはほぼ国産100%であり在庫も潤沢のためなくなる心配はないとメーカーも発表しています(なおこの発信をしたアカウントは消去されています)。国が事態の沈静化を呼びかけていますが、筆者の近所でも朝になるとドラッグストアに行列が出来て人々が先を争って物を買い求めています。WHOが状況報告13で「インフォデミック」として懸念していた、正しくない情報・デマの拡散により社会が混乱する様相がまさに始まっています。
SNSの猛烈な拡散スピードが、この混乱に輪をかけています。今後も似たような騒動が起こることが予想されるため、読者のみなさまには次のようなことをお願いします。1)疑問があるときは政府広報・保健機関広報など、まず公的な情報にアクセスする。2)情報ソースが示されていない過激な医学情報・社会情報は疑ってかかる。3)ひとつのソースだけでなく、複数ソースの情報を集めてクロスチェックをする。4)自分の検索・調査能力で事実が確認できない伝聞等は無闇に広めない。5)発信・リツイートの前に自問自答する「間違っていたら誰に迷惑がかかる?」
CCDC(中国疾病管理予防センター)より7万2千例を超える患者の疫学的調査結果が発表されています。論文から疫学的特徴を抜書きしてエクセルでグラフにしましたので、ご確認ください。
なお「【知識のワクチン】#04 解説:新型コロナウィルスの防御戦略の図」では、感染拡大当初の症例から、感染予防ステップ2を「40代以上」としてきましたが、今回の調査結果から患者が急増するのは30代以上であることが読み取れるため、以前の記事は今後修正する予定です。
軽症者が80%前後いること、高齢者ほど致命率が高いこと、併存疾患による重篤化しやすいこと、などの傾向には大きな変動はありません。
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