■前回のあらすじ
惑星カービンの第一衛星ムンへの有人着陸を当面の目標とするカーバル宇宙センター(KSC)。優れたロケットを開発するべくサイエンスポイントを獲得しパーツの開発を進めるも、今はまだカービンを周回する軌道にも乗れない非力なロケットしか作れず、宇宙船は第一宇宙速度(※)にも達しない。今回は短期間の目標「宇宙船を人工衛星にする」を成し遂げられるのだろうか?
※…人工衛星になるために必要な速度。詳しくは前回を参照のこと↓
■マイカ4号:弾道飛行
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さて。
前回はマイカ3号(2.5号は中途半端すぎるので四捨五入しました)がカービンの高度70kmを越えて宇宙空間へ到達することに成功しましたが、3号はカービンを周回しない弾道飛行に留まりました。今回は宇宙船を第一宇宙速度(だいたい秒速2.3km)まで加速して、なんとかカービンを周回する軌道に投入したいところです。
そのためにはもっと強力なエンジン、もっとたくさん推進剤が入るタンク、もっと充電できるバッテリーなどを開発していきたいのですが、いかんせんサイエンスポイントが足りない。
なのでマイカ4号は新しい実験装置を積んで弾道飛行に再挑戦です。
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リフトオフ!
今回もマイカ3号と同じクラスターロケットのように見えますが、実は大きな違いがあります。研究開発を進めたことで機体側面の推進剤タンクやブースターを切り離せるパーツが手に入ったので、推進剤を使い尽くした時点で取り囲むように配置した固体燃料ロケットを捨てられるようになりました。
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6本の固体燃料ロケット(1段目)を投棄して身軽になったところ。縦に積み重ねるスタイルではありませんが、外周に配置したブースターを切り離していくことでも多段式ロケットと同じ軽量化の効果が得られます。
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2段目の噴射を終えたところでマップ画面を開き、マニューバノード(以下「ノード」)を作成してみました。ノードは軌道上に作成できるもので、どの方向にどれくらいの時間エンジンを噴射すると軌道がどう変わるのかをグラフィカルに表示し、最適なタイミングで最適な方向に噴射するのをサポートしてくれるとても便利なKSPの機能です。
カービンを周回する軌道に宇宙船を投入するには、簡単に言うと「弾道軌道の一番高いところで、地面と水平な方向に、必要な速度が得られるまでエンジンを噴射」しなければなりません。
そこでノードを作成してあとどれくらいの速度を稼ぎ出せばいいのかを計算したところ、秒速およそ1.92kmと算出されました。第一宇宙速度が秒速およそ2.3kmなので、今は秒速0.4kmしか得られていないということですね。全然速度が足りていない。
また、ノードを作成すると、姿勢表示器(画面中央下)の隣に燃料の消費量やロケットステージの切り離しタイミングが示されたゲージが表示されます。ゲージの赤いところは燃料が不足していることを意味していて、つまり、マイカ4号ではまず燃料が足りない。
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噴射を続けて燃料が切れたところ。第一宇宙速度には秒速1.3kmほど足りませんでした。
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そのまま大気圏に再突入して着水。周回軌道への道のりは遠い……。
■マイカ5号:周回軌道投入
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弾道飛行を繰り返すこと苦節4回。実験装置が増えてきたので稼げるサイエンスポイントも増え、いろいろなパーツが解禁できるようになってきました。
今回の研究開発により追加のバッテリーに加えて小型のソーラーパネルも使えるようになったので、電力の確保が必要な長期間の飛行も実施できるようになります。
弾道飛行ですぐに帰ってくる日々はもう終わりだ。
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マイカ5号、リフトオフ!
4号までは短い固体燃料ロケットしか使えませんでしたが、今回からはより長時間噴射できる「サンパー」が使えるようになりました。5号では1段目にサンパー4基を採用し、2段目(これもサンパー、1基のみ)の周囲に取り付けています。
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1段目切り離し成功!
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マイカ5号は2段目のサンパーに点火して上昇を継続。パワフルなサンパーは3段目から上のステージをぐいぐいと持ち上げていきます。
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2段目切り離し、3段目点火!
3段目と4段目には、好きなタイミングで点火と消火を繰り返したり、エンジン出力を調整したりできる液体燃料ロケットエンジン「スウィーベル」を使っています(実はマイカ3号から採用)。
液体燃料ロケットエンジンは再点火可能なところが大きなポイント。固体燃料ロケットエンジンは一度点火したら燃焼し尽くすまで消化できませんが、液体燃料ロケットエンジンなら目的の速度に達したところで噴射を止められるので、今後求められる精密な軌道変更には欠かせません。
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最高高度が75kmに達したところで3段目燃焼停止。ノードを作成して必要な速度を割り出し、最適なタイミングで再点火します。
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3段目再点火。サンパー計5基のおかげで必要な速度はあと秒速1.6km、噴射時間は1分30秒くらい。
第一宇宙速度にとどけ―!
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燃焼停止!
遠点高度144km、近点高度71km。軌道速度は秒速2.34km。
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マイカ5号、カービン低軌道投入成功。この世界(=セーブデータ)における初の人工衛星になりました!
■遠点/近点のはなし
人工衛星の軌道には、周回している天体の重心に対して一番遠い点と一番近い点が必ず1つずつ存在しています。このうち一番遠い点を「遠点(apoapsis)」、一番近い点を「近点(periapsis)」と呼びます。
現実の世界では一部の天体で遠点/近点の呼び方が決まっていて、たとえば地球の場合は「遠地点(apogee)」「近地点(perigee)」、太陽の場合は「遠日点(aphelion)」「近日点(perihelion)」と呼ばれています。KSPの世界では特に固有の名称は決まっておらず、どの天体を周回する軌道でも「遠点」「近点」で統一されています。
■マイカ5号:大気圏再突入
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宇宙船の窓から眺めるカービンの水平線と太陽(実際こんな景色を見たら眩しくて大変かも)。
逆噴射をして軌道から離脱しないかぎり、マイカ5号は永遠にこの景色の下で飛び続けることになります。
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夜側に回ったらお月様ならぬ「おムン様」が見えてきたので、ちょっと船外活動。
あの上に立って戻ってくるにはカービンの周回軌道を離れ、ムンの周回軌道に入り、安全に着陸を果たし、再び上昇してムンを離れ、カービンの大気圏に再突入できる宇宙船を作らなければなりません。
アポロ計画ってやっぱりすごいことやってたんだなあ、今から50年も前に……。
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そんな有人ムン探査を実現させるために、名残惜しいですが地上に戻ります。
進行方向と逆向きにエンジンを噴射すると速度が落ちて弾道軌道に変わるので、望みのエリアに降下できるタイミングで噴射してあげれば大丈夫です。
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ムンを眺めながら大気圏再突入。減速したとはいえ弾道飛行に比べれば速度が上がっているので、再突入時の熱もずっと高温になります。この熱からカプセルを守るために、底の部分には耐熱シールドを装着しています。
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おっと……。
宇宙センター沖合に着水するはずが、噴射のタイミングが早すぎたようで、センター西にそびえる山脈のさらに西麓という遠くに降りてきてしまいました。
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おうちが遠いよう。
今回はついに第一宇宙速度に到達することができましたが、実はサイエンスポイントはそれほど稼げていません。
というのも、宇宙空間には弾道飛行でも到達しているので、大気圏外で得られるポイントはマイカ3号・4号ですでに取得していました。技術的には重要なステップである周回軌道への投入に成功しても、サイエンスモードでは新たなポイントがあまり入手できないのです(搭載している実験装置や投入された軌道にもよります)。
次回は効率良くサイエンスポイントを稼ぐために、いま使えるパーツを中心に作った宇宙船で、ムン周辺への往復飛行に挑戦してみたいと思います。
それでは!
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