【コラム】あなた、いま「惰考(だこう)」に耽っていませんか?

スタッフコラム

日々の暮らしの中で、考えなければならないことはいろいろあります。「今晩のおかずは何にしようかな……」程度であれば、さほど深刻に悩むこともありません。しかし、「今度の都知事選、誰に投票しようかな」「あの人はなぜ私にあんなことを言ったのだろう」「SNSに書かれていたあの噂、本当なんだろうか?」など、すぐに解決できないこともあります。

食器を洗っているときや、お風呂に入っているとき、あるいは布団に入って寝入る前。ふとこういったことを思い出し、あれこれ考えを巡らせてしまうことはありませんか? 眠る前にこのモードに入ってしまうと、すっかり眠気が覚めてしまい、困ったことになりますよね。私も、これまで何度も経験しています。

だらだらと寝てばかりいることを、「惰眠をむさぼる」と言います。この言葉に倣い、私は「惰考」という言葉を作ってみました。「惰考」とは、だらだらといつまでも考えている状態のこと。これ、決していいことではありません。のべつまくなしに考えに浸っていても、その問題は解決しない。それどころか、思考が空回りして、考えること自体がつらくなってしまうことさえあります。

では、「惰考」を止めるにはどうすればよいでしょうか。

たとえば、あなたが食器を洗いながら「あの人はなぜ私にあんなことを言ったのだろう」と思い始めたとします。まさにこのとき、あなたは「惰考」の入り口に立っています。いつもなら、そこから深い惰考の森に迷い込んでいくでしょうが、今は一旦、そこから抜け出しましょう。

抜け出す方法は、たったひとつ。「あ、私は今『惰考』しているな」と、今の自分の状態に気づくこと。たったこれだけで、「惰考」から抜け出すことができます。あとは、食器洗いを続けてもいいし、洗うのをやめてきちんと考え始めてもいい。どちらにせよ、もう「惰考」にふけることはないでしょう。

この方法、実は「怒り」にも有効なんだそうです。怒りのあまり頭に血が上り、気持ちが落ち着かなくなったとき、試しにこれをやってみてください。「あ、私は今『激昂』しているな」とつぶやいてみるんです。そうすると……なにが起こりましたか?

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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