【#0036】マッチングアプリ全国3位。デートの達人れんげさんが分析するコミュニケーションのコツ

1000人に会いたい PJ

マッチングアプリとは、恋人や結婚相手を見つけるため、希望の条件を入力してその条件にマッチした相手を探すサービス(アプリ)のこと。主なサービスとして「with」や「Pairs」、「Omiai」、「ゼクシィ縁結び」などがあります。「れんげ」さんは、この中の「with」と「Pairs」で「いいね!」の数が全国3位という偉業を成し遂げた方。つまり多くのユーザーの関心を集め、高評価を得た人ということになります。どうすればそんなことができるのか、お話しを聞いてみました。

井上 マッチングアプリ「with」と「Pairs」の「いいね!」の数が全国3位だったと聞きました。

れんげ はい。どうせやるんだったら「いいね!」の数をたくさんとろうと思って。本当は銀座でナンバーワンホステスになりたかったんだけど、母が「やめてくれ」と言うので断念しました(笑)

井上 どうやればそんなに「いいね!」がもらえるんですか?

れんげ いろいろ工夫していますよ。プロフィール写真を工夫するというのもそのひとつ。友だちに頼んで、ちゃんと意識して撮ってみました。

あとは、メッセージですかね。マッチングアプリの場合、デートする前に必ずメッセージを交換します。そのやり取りの中で相手の情報をうまく引き出せるかがとても重要。何に興味を持っているのかを聞き出し、デートではちゃんと話ができるように、ある程度の知識を入れておくんです。

井上 まるで試験勉強ですね。

れんげ そう、試験と同じです。私はしっかり事前勉強して備えるタイプなんですが、それが功を奏しているのかな。

人って、自分が知っていることを誰かに教えるのが好きなんです。そうすることで「自分は役に立っている」「必要とされている」という承認欲求が満たされる。だから、デート相手が「教えてください」というと、とても気分がよくなると思うんです。

井上 それだと、れんげさんは楽しくないのでは?

れんげ いえ、そんなことないですよ。人と話すのは、本を読むようなもの。知的好奇心が満たされるんです。デートで会う相手は、きっと私と違う経験をしているし、年上ならなおのこと私の知らないことをたくさん知っているはず。だから、人と話すことで知らなかったことを知り、もしかすると疑似体験もできる。これってすごくおトクじゃないですか?

Zoomでの取材の様子。「Zoomで取材を」とお願いしたら、ちゃんとZoomのTシャツを着てきてくれました。きっと、こういうところなんでしょうね

井上 うまく話を引き出すコツはあるんですか?

れんげ あります。一番大事なのは、相手にちゃんと気持ちよくなってもらうこと。そのためには、相手のニーズをちゃんと読み取らなければなりません。

ニーズは、カテゴリによって違います。たとえば私の場合、デート相手と仕事相手は同じカテゴリで、友だちは別。それぞれニーズが違うから、私の対応も変わります。

井上 え、デート相手と仕事相手は同じなんですか?

れんげ ええ、私にとっては同じですね。どちらも、徹底的に「相手に教えてもらう」というスタンスで挑むから、自分をアピールすることはありません。

反対に、友だちには自分をさらけ出しています。ネガティブな感情とか、秘密とか、あまり人に見せたくないようなものを積極的に見せるようにしています。そうやって弱みを見せることで、相手の懐に入っていく。これ、よく恋愛コンサルで言われる「姑息な手法」なんですが(笑)、私はデート相手ではなく友だちに使います。

井上 子どもの頃から友だちとうまく付き合えるタイプだったんですか?

れんげ いえ、むしろ友だちを作るのが下手でした。私、勉強を頑張っていたので、わりと成績がよく、同級生から勉強面で頼られる存在だったんです。プライドも高かったので、周囲に弱いところを見せることができませんでした。

ところが、大学2年生でWebマーケティングのインターンを経験して激変しました。わからないことだらけで、一人ではどうしようもなかった。それで周りの人に「わからないから教えて」と頼るようになったんです。そこで「ミスをしてもいいんだ」「自分ひとりで頑張らなくていいんだ」ということもわかりました。それからは、積極的に友だちを作るようになったんです。

友だちでも、デート相手でもいいんですが、「人とのつながり」って大事なことだと思うんですよ。その理由は2つあって、まずさっきお話しした「知的好奇心が満たされて自分の人生が豊かになる」ということが1つ。

もう1つは、未来の選択肢が広がると言うこと。たとえば、この先「転職したいな」と思うこともあると思うんです。そのとき、自分と違った仕事を経験している人をどれだけ知っているかによって、転職先の選択肢も広がっていくし、ゴールを置く場所も見えてくる。そういうときに手を貸してくれる大人が身近に存在すると言うこと、とても大事だと思うんです。

私の悩みは、すでに誰かが経験した悩みと似ているはず。だったら、一人で悶々と悩むより、そういう人に話を聞いたほうが手っ取り早くないですか? いわば、先人の知恵ですよね。それを知り、そこから自分なりに考えていくことで、成功率が上がっていく。

井上 れんげさんにとって、人脈はセーフティネットでもあるのかしら。

れんげ たしかに、セーフティネットかもしれませんね。でも、そのネットは1つじゃない。大人数のグループがあって、そこでなにもかも解決するという人もいると思いますが、私は小さなグループをたくさん用意しておいて、そこでいろんな人の意見を聞き、最適解を見つけていきたいんです。

誰かを盲目的に信じると、大きなミスしたとき、その人のせいにしてしまうかもしれないじゃないですか。私、それは絶対ダメだと思うんです。いろんな人の意見を聞いた上で、最終的には自分で判断して選ぶことで、ちゃんと責任の所在を自分に置く。そのためにも、誰か一人に頼ることはありません。

井上 ということは、特別な人はいないんですか?

れんげ はい、そうなんですよ。これまで自分からめちゃくちゃ好きになった人はいませんでした。デートしすぎてバグっているんですかね(笑)。比較対象が多すぎて、特別な人が見つからない。

いろんな人と会って、どうすれば相手が気持ちよくなれるのかを追求していると、相手にあわせるのが無駄に上手になってしまうんです。「この人はこういう人だから、私がこうするともっと好きになってくれるかな」と思って行動するから、相手が期待しない私になれない。つまり、自分をさらけ出せないんです。

友だちと会うときは、自分を出せるんですけどね。だからといって、友だちと付き合うことはない。そういう自分は、ちょっと想像できません。

井上 結婚願望はありますか?

れんげ ありますね。でも、どうしても結婚している自分をイメージできないんです。

今、デートコンサルというお仕事もやっているんですが、それって、一般男性から見ると「やばい奴」じゃないですか。おもしろいから続けているけど、結婚を考えたとき、今やっていることが正解なのかどうかわからなくて。

そんなわけで、今は結婚とか、恋愛とか、あまり考えられません。仕事がおもしろいから、しばらくはそれを続けていけばいいかな。

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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