【コラム】計画を立て直す必要はない

スタッフコラム

COVID-19の影響で、世の中は大きく変化しました。これまで通りの仕事のやり方ではうまくいかないと感じている人も多いのではないでしょうか。前回のコラムで紹介した「ニューノーマル」という言葉にも、そんなニュアンスが感じられます。

クルクルと変化する状況に、なんとかうまく対応していかなければならない。そう思ったとき、「このままではダメだ! 今後どうすればいいか考えてみよう」と決心し、心機一転、計画を立て直したりする人もいます。でも、たいていはうまくいきません(私もその1人です)。

では、なぜうまくいかないのでしょうか? そこでご紹介したいのが、作家である沢木耕太郎さんのインタビュー記事です。

僕は『こうなりたい』というような思いを持たないタイプの人間です。今、目の前にある仕事をやってきただけで、自分の生き方、方向性なんて考えたこともなかったし、今もないです。ライフワークとして書きたいというものもない。これは面白そうだからやってみようかなっていうことは常にあるけれども、ごくごく近い距離のことしか考えずに生きてきたような気がします。

https://news.yahoo.co.jp/articles/415bac348e6a69316ecc903f17dc363ee6e40448

この文章を読んだあと、私は自分の人生を振り返って考えました。確かに、これまでだって計画的に進めてきたわけではない。別にライターになりたかったわけではないし、自分が起業するなんて想像もできなかった。「こうなりたい」と思って行動していたわけではないけれど、気づいたら今、この場所に立っていた。

未来だって同じ。どんなに綿密に計画を立てたところで、この先、なにが起きるかわからない。これまでの人生があって、今この場所に立っているのだから、もっとこの場所を信じていい。そして、少し先のことだけ考えていけばいい。そう考えると、少し肩の力が抜けてホッとします。

ニューノーマルという言葉に踊らされることなく、かといってこれまでのスタイルに固執するのでもなく。今の状況をよく観察しながら、ゆったりと次の一歩を踏み出していけばいい。そう思えるようになりました。

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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