誰かと話をしていて「聞いてもらえていない気がする……」とモヤモヤしたことはありませんか?
相手と視線は合っているし、フンフンと相づちもしてくれる。合間に「なるほどね」「わかるよ」と声をかけてくれることもある。でも、聞いてもらえている実感がない……。
なぜそんなことになってしまうのでしょうか。理由はいろいろあるのですが、その1つが「(聞き手が話し手を)ちゃんと見ていない」ため。
例えば、家族が「疲れた……」と言ったとします。そのとき、あなたはどんな言葉を返しますか?
- じゃ、今夜はゆっくり寝たほうがいいね。
- 体調が悪いんだったら、医者に行った方がいいよ。
- 美味しいものを食べてしっかり寝れば、明日には元気になるさ!
- 仕事しすぎだと思うよ。もう少し仕事を減らしてもらえば?
だいたい、こんな感じでしょうか。
こうやって並べてみると、とても思いやりに溢れた言葉のように見えます。ところがこれを聞いた瞬間、彼(彼女)は機嫌が悪くなり「そういうことを言ってほしいわけじゃない」と攻撃してくるかもしれません。思いやりをもって会話しようとしているのに、怒らせてしまっては元も子もありませんね。
では、どう言えばよかったのでしょうか? 考えても正解がわからないときは、いっそ「疲れた……」といっている彼(彼女)に聞いてみてはいかがでしょう。たとえば、こんな感じ。
「仕事が多くて疲れたのかな?」
質問されると、彼(彼女)は「どうかな?」と自問自答を始めます。仕事が多かったから疲れたのかな? それとも、昨夜寝不足だったから?……あなたはその自問自答に寄り添いながら、ときに「寝不足だと、そうなるケースが多い?」というように質問を挟みます。すると、彼(彼女)はまたそれについて考え始める。
こうして自分との対話を続けていくことで、彼(彼女)自身で「疲れた」原因を見つけるかもしれません(もしかすると見つからないかもしれません)。
実は、原因が見つかるかどうかはどうでもいいんです。大事なのは、あなたが彼(彼女)と一緒にいて、「彼(彼女)と彼(彼女)自身の対話」に寄り添い続けたということ。しかも、ただ「一緒にいてみていればいい」ということではありません。ちゃんと「関心を持って」聞いているかが重要なのです。
あなたが相手に全く関心がない状態で話していても、そのことはすぐ相手に伝わります。それによって、相手はさらに傷つき、怒りをエスカレートさせるでしょう。
反対に、あなたが「この人はなぜ疲れているのだろう?」と関心を持ち、一緒に考えて始めると、それだけで彼(彼女)はとても安心し、「聞いてもらえた」ということに満足します。
とても多くの人が「自分に関心をもってほしい」「ちゃんと話を聞いてほしい」と願っています。しかし、残念ながらあまりその気持ちが満たされることはありません。その理由は、多くの人が「相手」に興味を持っていないから。
先の例でいうと、(1)〜(4)は相手を思いやった言葉のように見えますが、実は「家族が疲れているのはイヤ」というあなた自身のニーズがあり、それを早く解決しようとしているだけ。そこに「相手の今の状況を知りたい」という気持ちはありませんよね。
もし心当たりがあれば、次に家族が「疲れた」と言ったとき、こんな風に会話したらどうなるか試してみてください。あ、でもそのとき「本当にうまくいくのかな?」と思って試してはダメですよ。ちゃんと「家族が疲れている」という状況に関心を持って話を進めてくださいね。
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