【コラム】脳のワーキングメモリをクリアする方法

スタッフコラム

「ワーキングメモリ」ってご存じですか? ワーキングメモリとは、短時間だけ情報を保持し、処理する能力のこと。目の前のタスクを処理する際、その作業に必要な情報を少しだけ頭の中に置いておくことがありますが、そのときに活躍するのがワーキングメモリです。

ワーキングメモリに余裕があると一時的に多くの情報を保持できるので、いくつかの作業を無理なく同時並行で進められます。ワーキングメモリが少ないと、保持しておかなければならない情報が抜け落ちてしまうため、作業がうまく進められなくなるかもしれません。

これを絵で示すと、こんな感じ。まず、2016年のわが家のキッチン写真をご覧ください(上)。作業スペースがほとんどありません。ここで2品や3品料理しようとすると、切った野菜やボウル、鍋を置くところがなくなるため、1品ずつ作るしかありませんでした。

次に、現在のキッチン写真をお見せします(下)。前のキッチンにすっかり懲りてしまった私は、リフォームの際に「戸棚や棚はいりません。できるだけ作業スペースを広くしてください」とリクエストしました。

その効果は絶大で、調理途中のボウルや切った野菜、何度も使う調味料を出しっ放しにしても支障ありません。そのおかげで、複数の献立を同時にすいすい進められるようになりました。

つまり、美味しい料理を作るのに必要なのは「安心して作業途中のまま放置しておけるスペース(ワーキングメモリ)を確保すること」だったんですね。

実はこれと同じことが、私の脳内でも起きています。言わずもがな、今の私の頭の中は、2016年のキッチンと同じ。インターネットという大海から限りなく汲み出されている情報に囲まれ、多方面から届くさまざまなリクエストを聞きつつ、一気に複数の献立を進めようとしているんだから、メモリが満杯になってフリーズしてしまうのも仕方がない。

だから時々、自主的にワーキングメモリを解放し、フレッシュな状態に戻すようにしています。それが「ずっとやりたかったことを、やりなさい」という本に書かれている「モーニングページ」という方法。頭の中にあるものを一度すべて引っ張りだし、紙に書き出した後、頭の中をすっかり空にしてしまうことを、この本のなかでは「脳の排水」と呼んでいます。

脳の排水、本当は毎日やるといいんですけどね。つい忘れてしまって、月に一度になってしまうことも。それでも、やらないよりはやったほうがずっといい。もし私のように頭の中が2016年キッチン状態になってしまったら、モーニングページを試してみて下さい。ウソみたいにスッキリしますよ。

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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