【コラム】「なにもしない」を試してみよう

スタッフコラム

「もしあなたがいま、丸1日、家から一歩も出る必要がなくなり、すべての時間を自分のために自由に使えるとしたら、どんなことをしますか? 」

今年4月に「共感手帳術」ゼミで水城ゆうさんが提示した課題です。このとき、参加者のひとりがこんなことを言いました。

「『プーと大人になった僕』という映画に、”なにもしない、は最高の何かを連れてくる”というセリフがありました。なにもしない、っていいですね」

言われて気づいたのですが、私、最近「なにもしない」ができていません。ちょっと暇になっても、ついついスマホのニュース記事やSNSアプリを見てしまいます。

そういえば、先日「森山未來さんは携帯電話を持っていない」という記事を読みました。その理由がこれ。

「19歳か20歳ぐらいのある日、暇で麻雀か何かのゲームをしてて、気づいたら夕暮れになっていたんですよ。もうやめようと思ってそれで」と明かした。

森山未來、携帯電話を持たなくなった理由「19歳か20歳ぐらいのある日…」

携帯電話を持っていると、ずっとゲームをしてしまう。それではダメだと思い、彼は携帯電話を持つのをやめたとのこと。

同じようなことは、きっといろんな人が感じていると思います。しかし、そのときも「ゲームやってしまうからアプリを消そう」と思う程度で、スマホ(携帯電話)そのものを手放してしまおうとは思わない。

しかし森山未來さんは、アプリではなく携帯電話ごと捨ててしまった。きっと彼は「携帯電話をもっていると、またきっとゲームをしてしまう」と思ったのでしょう。意志で変えるのではなく、環境そのものを変えることを選ぶ彼は、本当に賢明な方なのだなと思いました。

ところで、スマホやアプリを捨てて「なにもしない」ができるようになったら、どんないいことがあるのでしょうか。「DIAMOND ONLINE」の記事には、こんなことが書かれていました。

 最近、ある人から興味深い話を聞いた。その人が子どもの頃、仕事から帰ってきた父親が、ただ椅子に座っていることが多かったというのだ。

 テレビも見ないし、ラジオも聞かない。本も読まないし、誰かと話をするわけでもない。ただ、椅子に座り、静かにじっとしていた。何を考えているの、と尋ねても、「別に」としか答えない。

脳に“刺激を与えない”ほうが人は創造性が高まる

記事によると、このとき父親は「積極的に何かを思考しているのではなくて、ただ穏やかに心の中を見つめている」とのこと。本当にそうだったのかどうかは本人に聞いてみないとわかりませんが……仮にそうだったとして、心の中を見つめると、どういうことが起きるのでしょうか?

記事を読み進めていくと、その問いに対する答えも書かれていました。曰く「心の平穏や静寂を感じる瞬間はストレスレベルを下げるし、創造性も高まる」とのこと。それにより「脳の中にある異なるアイデア同士が意外な形でつながり始める」のだそうです。

たしかに、以前1週間だけデジタルデトックスを試してみたときはとても気分がよく、頭の中も冴えていました。この記事に書かれているような特別すばらしいアイデアが浮かんだわけではないけれど「こんなに幸せなんだったら一生やっててもいいな」と思った覚えがあります。結局、そのあとすぐに仕事に戻り、デジタルまみれになってしまったのですが……。

ということで、とりあえずスマホを捨てる勇気がない私は、ニュースアプリとSNSアプリを消すことにしました。これで何が変わるのか試してみようと思います。少しでも長く「なにもしない」時間が味わえるようになるといいな。

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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