【コラム】「SDGs」と、孫の未来を思うこと

スタッフコラム

私は、眠る前に色々と考える癖があります。そのせいか、寝付きがあまりよくありません。とても寝付きがいい夫は、「目を閉じて、頭を空っぽにして」とアドバイスしてくれますが、そもそもそれができない。つい「そういえば……」と考えてしまうのです。

一昨日は、こんなことを考えました。「孫と子の違いってなんだろう?」。孫と子ども、たしかに「何か」が違う。でも、その「何か」ってなんだろう? 夜中、目を閉じたまま、ずっとずっと考えました。……すると、ふと「孫は祈り」という言葉が浮かんできました。

そうだ! 孫と子どもの違いはこれだ! 興奮した私は、隣で寝ようとしていた夫を揺り起こし、「わかった! 孫は祈りなのよ!」と伝えました(ひどい……笑)。が、もちろん彼にはなにがなんだかわかるはずもなく。「どういうこと? ちゃんと説明して」と言います。

「まず、子どもと孫の違いについて考えてみたのよ。子どもは、私に近い存在。子どもが困っていたら、心配になってなにかと世話を焼いてしまうし、口も出す。時には迷惑に思われちゃうかもしれないけど、構わずになんでもしちゃう。

でも、孫はそれとは違う。もう少し遠い存在。孫が困っていたら、そりゃあ心配だよ。だけど、手を出すことはしない。オロオロしながら、じっと見守るだけ。彼らが幸せでありますようにと祈りながらね」

それを聞いた夫は「なるほどね」と言いました。「それって、この前聞いたイロコイ連邦の話と似ているね」。

そう、たしか知人の島田啓介さんに聞いた話。北アメリカの様々な部族が集まった連合「イロコイ連邦」では、なにかを決めるとき、それが7世代先の子孫にとってよいことかどうかを指針としているのだそうです。7世代先ということは、200〜300年先ということでしょうか。先の話すぎて、ちょっと想像できないけど。

確かに今、私たちがやっていることは、多少なりとも200年先の世界に影響します。それは地球温暖化や戦争などの大きな問題に限らず、ほんの小さなこと……たとえば道路に落ちているゴミを拾うか拾わないかなんてことさえ、きっと未来になんらかの影響を与えるはず。

判断に迷ったとき、なにを指針にするかによって行動が変わります。もし「私が楽したい」いうことを指針にするのであれば、きっとゴミは見なかったことにして通り過ぎるでしょう。

しかし7世代先の子孫のことを思うと、やはりゴミは片付けておいたほうがいい。いや私の場合、7世代先まで行かなくても、自分の孫のことを思うだけで「清潔できれいな町にしておかなくちゃ」となるわけです。

最近よく聞く「SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)」って、きっとこういうことなんですね。今の自分たちには関係ない未来の話であったとしても「この先、地球上で生きる私たちの子孫が生きやすい世界でありますように」「幸せでありますように」と祈り、それを念頭に置いて行動する、ということ。

世界中のリーダーが7世代先の子孫のことを考えながら行動すれば、もう少し暮らしやすい世界になるはず……なんですけどね。

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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