【PickUP!】名著を100冊読んだら人生変わっちゃうかも?

レビュー&コラム

私がインターネットで見つけた情報をシェアするコーナー「PickUP!」。本日ご紹介するのは「100分de名著」(NHK)という番組のホームページにあった「名著を100冊読んだら人生変わっちゃうかも?」という記事です。

https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/2020special2/index.html

新型コロナウィルス感染の広がりを防止するため、現在、11都府県に緊急事態宣言が発出されています。

個人的には昨年2月から外出を控えるようになり、家のなかで楽しめる娯楽をいろいろと模索しておりましたが、そろそろ案が尽きてきました。

何をすればいいかわからないまま、あてもなくテレビでAmazonプライムビデオを眺めていたところ、「NHKオンデマンド」というメニューを発見。どんな番組があるのかなと見てみたところ「100分de名著」という文字が目に留まりました。

「100分de名著」とは、その名の通り、100分(25分x4回)で名著を紹介するという番組。これまで小説やエッセイ、哲学書、マンガなど、あらゆるジャンルの名著を扱っていました。

「変身」(カフカ)や「モモ」(ミヒャエル・エンデ)、「ソラリス」(スタニスワフ・レム)など、個人的に気になるタイトル色々揃っていて気になっていたのですが、なかなか見る機会がありませんでした。

そこで「今の暇な時間を使って100分de名著を全部見てやろう!」と思い立ち、NHKオンデマンドを契約しました。番組は全部で400本近くあるようなので、かなり時間がかかりそうです。


さて、番組を見ていて気になったのは、司会を務める伊集院光さんのトーク。彼はしばしば「この本は全く知りません」や「難しそうですね」「正直よくわかりません」など、とても率直なコメントをしています。多くの視聴者が見ている前で、これほど素直に「知らない」「わからない」と言えるなんて希有な人だなあ……と思って見ていました。

さて、記事の始めにご紹介した記事では、冒頭、伊集院光さんが司会を引き受けたときに決めたことが書かれています。

司会を引き受けることになって、最初に決めたのが「いわゆる読書家でもなんでも無い僕が理解できることを基準に番組を作れば、どんな視聴者の方でも、ついてきてくださるはず」ということで「僕はそのための基準をやろう」ということでした。文学に精通している人でなくても、全然知識のない人でもわかるような番組にしたかったんです。
だから、収録のたびに「見栄を張るな」って自分に言い聞かせてましたね。つい、恥ずかしくて、わかったふりをしてしまいそうになるんだけど、それは絶対にやめよう、と毎回誓いを立てて向かっていました。

https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/2020special2/index.html

この「恥ずかしくて、わかったふりをしてしまいそうになる」という感覚、よくわかります。恥ずかしながら私、友達と話していて、たまに「知らないけど、知ってることにしておこう」と思うことがあります。でも本当に相手の話を理解したいのであれば、「わからない」「知らない」と言ったほうが絶対にいい。

また、こんなことも書かれていました。

「無知」と「知」のぶつかり合いによって生まれる化学反応みたいなもので、そういうときはすごくやりがいがありますね。
でも、実は番組第一回の前の打ち合わせでは台本に、僕がこういうことを言うだろう、言ってほしいということがそれなりに書いてあったんですよ。それがすぐに減っていって、今では全くなくなっちゃいました。

https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/2020special2/index.html

この言葉は、深く納得しました。私がインタビューをするときにいつも心がけていることと、とてもよく似ていると思ったからです。

相手の話をちゃんと聞こうと思ったら、まずこちら側の「意図」を捨てるということ。その上で、感じたこと、知りたいと思ったことを率直に相手にぶつけていくということ。これがきちんと成立したとき、そこにある種の化学反応が生まれ、とても「いいこと」が起きます。たとえば、こんなこと。

(カフカの「変身」の解説を聞いて)急に「ああ、そうか」と腑に落ちたんです。僕は中学校まで生徒会長をやるような優等生だったんですが、高校生になったある日、急に「行きたくない」と思うようになって、そこからまったく学校に行けなくなっちゃったんですね。その引きこもっていたときの感覚、世間とどんどん距離が開いていく感じとか、家族からもだんだん邪魔者扱いされていくあの感じとかががはっきりと思い出されて、「そういう話か!?」と思いました。(中略)これは俺の話だ! と思った瞬間ですね。

https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/2020special2/index.html

「(頭では)理解できた」と感じることと、「わかった!」と腑に落ちること。両者には、大きな隔たりがあります。このとき、伊集院さんは「わかった!」と感じたのでしょうね。それも、彼が率直に本(と、それを解説している専門家)と向き合ってきたからだと感じました。

この記事を読んでもし興味をもたれましたら、ぜひ「100分de名著」をご覧ください。放送時間は、以下の通りです。

毎週月曜日/午後10時25分~10時50分 <再>水曜日/午前5時30分~5時55分、午後0時~0時25分(Eテレ)

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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