雨の日はミステリを読もう

スタッフコラム

梅雨ですね。新型コロナウィルス感染防止ということもあり、なかなか外出することができません。そんなわけで、最近は読書に耽っています。なんでも読みますが、特に好きなのはミステリ。先週読んだのは、「アリバイ崩し承ります」(大山誠一郎)と「教会で死んだ男」(アガサ・クリスティ)です。

「アリバイ崩し承ります」は、別冊マイカの「ミステリ倶楽部」を担当している白井さん好みの、キッチリ組み立てた安楽椅子探偵もの。白井さん、ちゃんとレビューを書いていました。

https://www.office-mica.com/magazine/entry/2020/04/09/155928/

この作品、アリバイに特化したこだわりのトリックが盛りだくさん! ミステリマニアにもいろんな傾向がありますが、アリバイ崩しが大好きという人には最高の一冊に違いありません。おすすめです。

同名のドラマがアマプラにあったので、そちらも視聴中。主人公の時乃ちゃんを演じるのは、「屍人荘の殺人」にも出ていた浜辺美波さん。あちらではひたすら美しい女性でしたが、こちらではただただ可愛い。どっちもいけるのが素晴らしい!

さてドラマ版の「アリバイ崩し承ります」、白井さんは1話を見てがっかりし「たとえ浜辺美波の入浴シーンがあっても」もう二度と見ないと決めたようですが、私は軟弱なので喜んで見てしまいました。いや、決して入浴シーン狙いではないですよ。これはこれでおもしろいと思ったので。

もう一冊の「教会で死んだ男」は、古き良き時代のアガサ・クリスティ短編集。この本を読もうと思ったきっかけは、哲学カフェで「座右の銘は?」と聞かれたこと。私の座右の銘はこれです。

「よろしいですか。たとえ明日死ぬとしても、やり直しちゃいけないって誰が決めたんですか?誰が決めたんですか?」(古畑任三郎「再会」より)

古畑任三郎「再会」で、最後に古畑が友人である安斉に向かって放った言葉です。このときの古畑の顔、聞いた安斉の顔を、私は忘れません。とても愛情深く、希望に満ちた言葉でした。

この「再会」の元ネタが、アガサ・クリスティの「スズメ蜂の巣(Wasps’ Nest)」だと聞いて、ぜひ読んでみたくなりAmazonで探したのですが、なかなか見つかりませんでした。それもそのはず、「スズメ蜂の巣」は短編で、「教会で死んだ男」という本に収録されていたのです。さっそく一冊読んでみましたが、結構なボリュームでした。そういえば、生まれて初めて読んだミステリは「シャーロック・ホームズの冒険」でしたが、あれもこんな風でした。

短編はどれもおもしろかったのですが、内容はだいたい知っていました。海外ドラマのポアロシリーズとミス・マープルシリーズはだいたいコンプリートしているので、その中にあったのでしょう。しかし1つだけ知らない話がありました。「洋裁店の人形」という短編です。これがとても奇妙な話で、事件も起きていないし、謎も解き明かされないまま終わってしまいます。この作品はなぜ、この本に収録されているのか? 最後に最大の謎が残されたような気分になりました。

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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