4月3日まで、上野の「東京国立博物館」で特別展「ポンペイ」が開催されています。以前から気になっていたので、先日、見に行ってきました(具体的な内容については「トーハクの特別展『ポンペイ』に行ってきた」という記事をご覧ください)。
この時期、あまり人が多い場所は避けたいので、行っても大丈夫かどうか少し心配していましたが、平日の午前中だったせいか、さほど混んでいませんでした。手の消毒やマスク着用に加え、会場では会話しないようにと掲示されておりましたし、係の方も周囲の様子を見ながら必要に応じて注意されるなど、感染防止対策にとても気を配っている印象で安心しました。
ポンペイは、紀元前79年にヴェスヴィオ山の噴火によって地中に埋もれた町として知られています。私は、子どもの頃に聞いた話から「とても悲劇的な場所」というイメージを持っていました。
しかし今回、特別展でポンペイから出土された数々の品を見ていて強く感じたのは、ポンペイがとても賑やかで豊かな町であったということ。
たしかに火山の噴火によって町全体がなくなってしまったという事実は悲劇ですが、それ以前に町で暮らしていた人の生活を思うと、悲劇を上回るほどのエネルギー、活気、楽しさ、ユーモアが感じられました。
悲劇的な最後だけをフューチャーすると、それまで生きていた人の人生(時間)が見えなくなってしまう。ポンペイの遺物を見ることで、よく知らないまますべてを「悲劇」と決めつけてしまう危うさを感じました。結果ばかりに気を取られて、そこに至る経過を見失わないようにしなければ。
ちなみに私は、火山が噴火して発生した火砕流があっという間に町全体を飲み込み、瞬時になくなってしまったイメージでしたが、調べてみるとそうではなくて、噴火直後はしばらく火山灰が降り続き、しばらく後(一説によると12時間後)に火砕流が起きたとのこと。つまり火砕流が起きる前、多くの人は町から逃げ出して難を逃れることができたんですね。そのことを知っただけで、ポンペイのイメージはまた大きく変わっていきます。
私はぼんやり生きているから、こんな風に勘違いしていること、きっとほかにもいろいろあるんだろうなあ。とほほ。
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