現在、劇場公開されている「THE BATMAN-ザ・バットマン-」。DCコミックスのアメコミを原作とした映画で、これまでも何度も映画化されているバットマンですが、これまでとはまた違う、新機軸を打ち出していて評価が高いようです。そんなバットマンのポッドキャストがSpotifyの独占配信で登場するようです。
ポッドキャストの独占配信
NetflixやApple TV、Amazon Primeなどの動画配信と同様に、ポッドキャストにおいても独占配信が増えています。特に、ポッドキャストのプラットフォームとして首位を獲得したSpotifyは、他サービスとの差別化を図るため、Spotify独占配信番組を確保することに注力しているようです。
既に配信されているポッドキャスト番組に対する「クリエイター・サポート・プログラム」を実施し、制作費などをサポートする代わりに、番組を独占配信に切り替えることもしています。また、Spotifyオリジナルとしてコンテンツの制作にも力を入れており、今回のバットマンもその1つ。
全くのオリジナルコンテンツ『BATMAN 葬られた真実(原題:Batman Unburied)』は、5月3日から全世界9カ国同時配信を予定しています。映画がヒットしているタイミングなので話題になりそうです。
9カ国には日本も含まれており、俳優の大谷亮平が主演のバットマン/ブルース・ウェイン役を務めるようです。設定もオリジナルで、主人公のブルース・ウェインは法医学者。連続殺人犯の犠牲者を検査する任務の中、バットマンとして連続殺人犯と対峙するも、ブルース・ウェインの心の闇に迫る本格的なサイコスリラーとのこと。サイコスリラーは海外のポッドキャストで人気のジャンル。意欲的な作品のようです。
アメコミとポッドキャスト
アメコミとポッドキャストは相性が良いのかもしれません。Amazonが運営するオーディオブックサービス「Audible」においても、独占配信のポッドキャストが制作されています。その中の1つに、DCコミックスを原作とした日本版「The Sandman」があります。ナレーターを今井翼、サンドマン役を森川智之が務め、今春よりスタートと告知されています。
一方、アメコミ業界ではDCコミックスとライバルで、映画では大成功を収めているマーベルコミックスもポッドキャストへ取り組んでいます。DCコミックスよりも進んでいるといえるでしょう。
Apple Podcasts内にチャンネルを作成し、8本の番組を公式に配信しています。映画やドラマでもお馴染みのブラック・ウィドウやホーク・アイといったヒーローのストーリーを公開中です。
日本向けには、動画配信サービスのDisney+と共同で、マーベル作品について話す「Marvel Studio Talk」も配信しています。
ウルヴァリンのポッドキャスト
マーベルは1974年からファンタスティック・フォーやスパイダーマンのラジオシリーズなどに取り組んでいたようです。そのため、ポッドキャストにもチャレンジしやすかったのかもしれません。
マーベルの最初のポッドキャストへの取り組みは、ポッドキャストの作成・配信を行うStitcher(スティッチャー)が制作し、2018年に公開された『Marvel’s Wolverine: The Long Night』でした。
映画『X-MEN』でも人気のウルヴァリンを題材にしたポッドキャスト・シリーズで、Appleが選ぶ「2018年のベスト・ポッドキャスト」の1つとして選ばれ、2019年には、ラジオネットワークのiHeartRadioの「ベスト・スクリプト・ポッドキャスト賞」に選ばれました。
それを受けて、『Wolverine: The Long Night』は2019年にコミック化されました。先にポッドキャストで公開された作品が、後からコミック化されたというユニークな事例です。現在は、続編のシーズン2『Marvel’s Wolverine: The Lost Trail』も公開されています。
連載小説+オーディオブック
Realm(レルム:旧Serial Box)というサービスが面白い試みを行っています。連載小説をオーディオブックとセット販売し、同じストーリーをテキストで読むことも、オーディオで聴くこともできるというサービスで、2019年に約5億円の投資を受けています。このサービスでは、マーベルコミックスとDCコミックスの双方と契約し、テキストとオーディオで公開していくという手法をとっています。
マーベルから、ブラック・ウィドウ、マイティー・ソー、ジェシカ・ジョーンズ、ブラックパンサーなど、DCコミックスからはバットマンやワンダーウーマンなどの作品が見られます。
なお、マーベルコミックスとDCコミックスの作品は権利の関係で配信されていませんが、オリジナルの作品は、オーディオコンテンツをポッドキャストでも配信するなど、ユニークな展開をしています。
オーディオの日本語対応
このように、これまでもアメコミのポッドキャストやオーディオブックはあったのですが、当然ながら日本語ではありませんでした。今回のバットマンやThe sandmanは、日本語での吹き替えコンテンツが用意されているのが嬉しいところです。
Spotifyでも、2021年に一番再生されたポッドキャストは、人気アニメ『呪術廻戦』の声優たちがエピソードを振り返りながら話す『呪術廻戦 じゅじゅとーく』でしたので、コミックや漫画というジャンルは注目度も高く、今後の展開も楽しみです。
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