本連載の #20 にて紹介したように、Appleはポッドキャストの管理画面であるPodcasts Connectで、これまで表示されずブラックボックスだったポッドキャストのフォロワー数を4月から表示すると発表しました。
4月14日の深夜にお知らせのメールが届き、予告通りフォロワー数が表示されるようになっているのを確認しました。これで、これまで全く分からずに推測するしかなかったフォロワー数がわかるようになりました。
Podcasts Connectでの計測は限定的
Podcasts Connectを使えば、ポッドキャストの管理やアクセス解析などを確認できます。Anchorなどで自動的にApple Podcastsに登録した人は見たことがないかもしれませんが、もしアクセス解析などに興味があれば、ログインできるようにしておくと良いでしょう。
ログインすると、チャンネルやポッドキャスト番組を管理する画面が表示されます。フォロワー数や視聴数などを確認するには、メニューの「Analytics」をクリックします。
登録している番組の一覧が表示されるので、表示したい番組をクリックすると、下記のような画面に切り替わり、概要が確認できます。
ここで、以前は表示されなかった「フォロワー数」が確認できるようになっています。この画面では「過去60日間」の数字になっていますが、期間を変えたいときは、右上のメニューで変更できます。
なお、ここに表示されている数字はかなり限定的なもので、リスナーの総数が分かるものではありません。Podcasts Connectで集計されるデバイス(パソコンやスマホなどの端末)は、下記の通りです。
- IOS11以降の端末で再生されたApple Podcastsでの再生
- macOS Catalina以降のMacのPodcastアプリでの再生
- iTunes 12.7以降のMacおよびWindoes
- HomePod
以上になります。ポッドキャストがApple Podcastsで聴かれている割合は、番組によってかなり違います。中には、ほとんどSpotifyで聴かれているという番組もあるのではないでしょうか。
iOSで再生されていたとしても、SpotifyアプリやGoogle Podcasts、またはPocket CastsやOvercastといったサードパーティのポッドキャストアプリで再生されたものは計測されません。
パソコンでも同様に、PodcastアプリやiTunes以外やブラウザで聴いたものも計測されないようです。iOS10以前のiOS端末やAndroid端末でのリスナーに関しては一切計測されないようです。
上記の点を考慮しながらも、全体としての動向やエピソードごとの再生数なども分かります。詳細画面では、エピソードの時間経過とリスナー数も確認できます。左下の再生ボタンで再生しながら、確認できるため、どの部分でリスナーが離脱したかも分かり、平均の再生率なども表示されるので、番組内容の向上に役立てることができそうです。
「リスナー数」と「熱心なリスナー数」の違いは?
フォロワー数以外の数字がなにを示しているのかが少し分かりにくいかもしれませんので紹介します。
- フォロワー数 : 番組をフォローしている人の数
- リスナー数 : 0秒より長く再生されたユニークデバイスの数
- 熱心なリスナー数: 1回に20分以上または40%以上再生したデバイス数
- 再生回数 : 0秒より長く再生されたユニークデバイスで再生された数
「フォロワー数」は、Apple Podcasts内でのフォローしているリスナーの数。Spotifyなど他のプラットフォームでフォローしている人の数は含まれません。
データの日付は世界標準時間(UTC)が基準になっており、日本時間では朝9:00に日付が変わります。データの反映はリアルタイムではなく、最大72時間遅れることもあるようです。
「ユニークデバイス」というのは、1つ1つの端末という意味です。iPhoneとiPadとパソコンではそれぞれにカウントされるので、1人の人がそれぞれの端末で聴いた場合、ユニークデバイス数は「3」となります。あくまで計測できるのは、「人」ではなく「端末(デバイス)」の数です。これは、どのサービスでも同様だと思います。
ただし、リスナー数に関しては、複数端末でフォローしている場合も同期されるので、Apple IDのアカウントが同じであれば同一人物と見な[1] されるようです。
「リスナー数」は、「0秒より長く再生されたユニークデバイスの数」です。一瞬で再生をやめたものはカウントせず、1秒以上再生されたものをカウントするようです。デバイスごとの数になりますが、同じ端末であれば、複数回聴いても「1」となります。
「熱心なリスナー数」とは、1回の再生で20分以上、または40%以上聴いてくれたリスナーのこと。一時停止や停止をしても続きを聞いた場合、同じ端末であれば1回の再生の続きとして見なされるようです。
「再生回数」は、リスナー数と似ていますが、同じ端末で再生された再生数です。例えば、計測期間中に10エピソードを聴いた場合、リスナー数は、複数エピソードを聴いても「1」ですが、再生数は「10」となります。
分析の仕方は解釈によって違いますが、例えば下記のような見方ができます。
・フォロワー数よりリスナー数が多い場合、フォローせずに聴く人が多いので、フォローしてもらえるようにしたい
・逆にリスナー数よりフォロワー数が多い場合、フォローしてるのにあまり聴かれていないのかもしれません。エピソードタイトルなどに工夫したいところ
・リスナー数に比べて熱心なリスナー数が少ない場合、途中で聞くのを止める人が多いということなので、40%以上聴いてもらうようにしたい
これらは、計測期間を変えても大きく変わります。データ分析のコツは、ただ数字を眺めるのではなく、さまざまな仮説を立てながら数字で裏付けをとるようにすることです。ただ、毎日見ていても変化はわかりにくいので、そこまで振り回される必要はありません。ときどき確認して、計測期間を変えながら調べてみると良いでしょう。
Apple Podcastsのランキング
Apple Podcasts内で表示されるランキングがどのようなロジックになっているかは公表されていません。ただ、単純な再生数ではないようだということは知られています。始まったばかりの番組が、比較的上位に上がりやすくなっているようだとも言われます。
今回のお知らせとともに、少しランキングについての説明もありました。
詳細なアルゴリズム(計算方法)は公開しないとの前提の中で、下記の項目をランキングの参考にしているとのことです。
- リスニング:リスナーがエピソードを聴いているリスニングの数
- フォロー:リスナーが番組をフォローしている数
- 完了率:リスナーがエピソードを最後まで聴いた数
これらの重要度は公表されていませんが、参照しているのは上記の3つのようです。新番組はフォロー数の伸び率が高くなるため、上位に上がりやすいのではないかと推測できます。単純な数ではなく、伸び率も参照してそうです。
なお、星の評価やレビューの数などは、ランキングに影響しないということも記載されていました。また、登録だけしていて自動ダウンロードはされるけど、聴かれていない場合もランキングには参照しないようです。
リスナーの視聴数やランキングは気になりますが、あまり振り回されてもいけません。しかし、番組の向上のために、Podcasts Connectを活用しましょう。
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