数年前まで、ポッドキャストはAppleの独壇場でしたが、今では各社が参入しています。第13回で紹介したオトナル・朝日新聞社調べのデータによると、ポッドキャストの視聴プラットフォームはSpotifyがAppleを抜いて1位となっています。
特に若い世代は、SpotifyやAmazon Musicを通じてポッドキャストを聴いている人が多い印象です。古くからのポッドキャストリスナーと視聴の動向が違うのかもしれません。
Spotifyから若い世代のオーディオの活用の仕方のレポートが出ていましたので見てみました。
Z世代のオーディオ活用
Spotifyでは、毎年、Z世代のオーディオストリーミングの関わり方や文化トレンドをレポートする「Culture Next」を発表しています。
Z世代とは1990年代中盤から2010年頃までの世代を指し、生まれた時からインターネットがあり、スマホやSNSを日常的に使うデジタルネイティブの世代です。アメリカでは人口の約3割がZ世代になっていると言われ、これからの消費の中心になると言われています。
Spotifyのレポートでは、15歳〜25歳をZ世代と捉えて調査を行ったようです。レポートの概要は下記にグラフで表されています。音楽やポッドキャストの聞き方などをミレニアム世代(26〜40歳)と比較しながら記されています。
https://spotifynewsroom.jp/2022-08-16/zculture-next/
Z世代はミレニアム世代より音楽を聴く時間が長く、作品を聴く前にアーティストをSNSでフォローする傾向があるようです。約1/3がファンのデジタルコミュニティに参加したことがあり、オーディオは聴くだけではなく自らの個性を表現するものと捉えてるとのこと。デジタルネイティブらしさが発揮されています。
ひとつ気になるのは、Z世代はミレニアル世代に比べてストレスを感じていて、一番聴かれるポッドキャストのジャンルは「メンタルヘルス」であるという点。世界では「メンタルヘルス」のジャンルが前年比で62%増ですが、日本では前年比で400%増となっているようです。
ポッドキャストを単なる娯楽ではなく、知識や学習、カタルシスのための空間と捉えているようで、人生の最も複雑な問題を解決するための安全な場所として利用しているとのことです。
Z世代は利益よりも心地よさを重視
「Culture Next」のレポートは、オーディオ企業であるSpotifyが調査をしているため、オーディオの良さに目を向ける内容にはなっていますが、この数年で音声コンテンツの注目度は上がっているように感じます。
その中でZ世代の特徴として述べられているのは、デジタルネイティブであるとともに、利益よりも心地よさや人のためにとる行動を重視する傾向があるということ。利益を重視してバズる動画を作り出すのではなく、自分の本音が出しやすい、ゆるい繋がりを重視して自らを発信していくのであれば、オーディオコンテンツはZ世代に向いているのかもしれません。ポッドキャストを広めるにはSNSの活用が必須という点も、Z世代の得意とするところです。
就職においても、年収が下がっても残業が少なく、自分の時間が取れる企業を選ぶ傾向があると言われます。今は、戦後のバブル期のように、働けば働くほど年収が上がる時代ではありません。だからこそ、仕事よりも自分の趣味や好きなことに費やす時間を重視する傾向があるようです。
スマートフォンとSNSに慣れたZ世代にとって、知識や安心を得ながら自ら発信もしていくポッドキャストは適しているのかもしれませんね。
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