現在、日本テレビでドラマ放映中の「霊媒探偵・城塚翡翠」の原作『medium(メディウム)霊媒探偵城塚翡翠』(相沢 沙呼)は、この「ミステリ倶楽部」でもすでにご紹介しています。
白井 武志さんのレビューを読んだ私は、いつものようにその場でKindleにダウンロードし、即座に読み始めました。もともと推理小説はネタバレ厳禁のカテゴリですが、特にこの作品はネタが生命線ですから、うっかり下手うってバレてしまってはいけません。ということで、白井さんも慎重に慎重を重ねたレビューでしたが、本書を読んでその理由に納得。いやいや、怖すぎてもう何も書けませんって。
日曜の夜から月曜にかけてTwitterの「#城塚翡翠」ハッシュタグを追うと、原作読了済みクラスタが、まるで悲鳴のようなツイートを重ねています。
【原作ファンに告ぐ】一切のネタバレを、自らに許してはいけません。一切のネタバレを、自らに許してはいけません。原作の小説で出会ったあの驚きを、ドラマで初めて出会う人から奪ってはいけません。最終回まで、ひたすら「翡翠ちゃんかわいい」でいきましょう。
https://mobile.twitter.com/hatano_natuki/status/1581653855552798721
そんなわけで、私もこの本について何も語ることはできませんが、シリーズ最新作である『invert II 覗き窓の死角』をちょっとだけご紹介します。もちろんこのお話にも城塚翡翠が登場するので、下手なことは言えないのですが……むむむ。
ちなみに『invert』の一作目はこちら。収録されている作品はそれぞれ独立した短編なので、順番通りに読む必要はないと思いますが、一応。
さてさて。ここから先を読むか読まないかはあなた次第。できるだけネタバレしないように気をつけようとは思いますが、先ほども申し上げました通り、なにを言ってもネタバレになりそうなのが城塚翡翠作品でして。
まだ『medium』を読んでいない方は、このままそっとブラウザを閉じることをおすすめします……
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—-<以下、ネタバレ(になるかもしれない情報)あり>—-
さて、城塚翡翠シリーズ3作目である「invert II 覗き窓の死角」は、今年9月に出版されました。前作「invert」同様の倒叙集で、今作でも城塚翡翠&千和崎真コンビが活躍します。
2作目を読み始めたときは「もうあれほどの驚きはないだろう」と高をくくっていましたが、最後の「信用ならない目撃者」を読み終わったあと、その予想の甘さを思い知ることになりました。『medium』で欺されたあと、よくよく気をつけていたというのに、またまんまとやられてしまうことになるだなんて。
そして3作目の『invert II 覗き窓の死角』です。「さすがに、もうあれほどの……」と思いかけた自分に呆れながら、読み始めました。そして、やっぱり欺されました。この作者、本当に侮れません……。
『invert II 覗き窓の死角』には、2本の作品が収められています。1作目は、くすっと笑いがこぼれるドタバタコメディ風味のミステリ。古畑任三郎シリーズで「最もかわいそうな犯人」として知られている「間違われた男」という話を思い出しました。しかし、油断は禁物です。なんたって、作者は相沢沙呼さんです。ただ笑っているだけで終わるはずはありません。ラストには、ちゃんと読者の予想を大きく裏切る展開が用意されていました。倒叙ミステリの盲点を突いたストーリー、さすがです。
打って変わって2作目は、本格ミステリの風格を備えた重厚な作品。はじめは意気投合していたはずのふたりが、話が進むにつれてどんどん険悪になっていきます。その理由は、かの有名な「刑事コロンボ」と同じ。細かいところに気がつく翡翠がしつこく犯人に絡み続け、相手をウンザリさせるから。もちろんそれも、翡翠の作戦ではあるのですが。
そして最後は、お決まりの対決シーン。そこで翡翠の口から明かされた真相は……いやいや、参りました。古今東西のミステリを読み、さまざまなアリバイトリックを知っている(つもりになっている)読者はなおのこと、この仕掛けにまんまと欺されてしまうかもしれません。
さてさて、テレビドラマの「霊媒探偵・城塚翡翠」ですが、次回はいよいよ「透明な悪魔」との対決です。すでに原作を読み終わっている方は、十分気をつけてくださいね。私はよく、あんなシーンやこんなシーンで「ぐふぐふ」と笑ってしまい、家族から嫌がられています。「ぐふぐふ」笑うことすらネタバレになってしまいますからね……本当に厄介です、このドラマ。
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