2022年10月18日(火)~12月28日(水)、東京都美術館で開催されている「展覧会 岡本太郎」を見てきました。東京都美術館のHPにあった説明を引用します。
絵画、立体、パブリックアートから生活用品まで、強烈なインパクトのある作品を次々と生み出し、日本万国博覧会(大阪万博)の核となる「太陽の塔」をプロデュースし、晩年は「芸術は爆発だ!」の流行語とともにお茶の間の人気者にもなった岡本太郎。彼は、戦後日本の芸術家としてもっとも高い人気と知名度を誇るひとりでありながら、あまりに多岐にわたる仕事ぶりから、その全貌を捉えることが難しい存在でもありました。「何が本職なのか?」と聞かれ、彼はこう答えます。「人間――全存在として猛烈に生きる人間」。18歳で渡ったパリの青春時代から、戦後、前衛芸術運動をけん引した壮年期の作品群、民族学的視点から失われつつある土着的な風景を求めた足跡や、大衆に向けた芸術精神の発信の数々、さらにアトリエで人知れず描き進めた晩年の絵画群まで――。本展は、常に未知なるものに向かって果敢に挑み続けた岡本太郎の人生の全貌を紹介する、過去最大規模の回顧展です。
https://www.tobikan.jp/exhibition/2022_tarookamoto.html
図録の最初のページには、岡本太郎のこんな言葉が記されていました。
「美術品」や「芸術」の、あのよそよそしさ。
『展覧会 岡本太郎』より
そのなま皮をひっぺがして、自由なイマジネーションをふき上げるべきだ。
会場のなかに入ると、この言葉通り、通常の展覧会とは違った自由な空気が流れていました。広いスペースのあちこちに展示されている作品は、とくに見る順番が決まっているわけではなく、見たいものから見ればいいというスタイル。撮影もご自由にどうぞとのことだったので、遠慮なく写真を撮ってきました。この記事では、その一部をご紹介していきます。
会場の入り口で出迎えてくれるのは、こんなに可愛い作品。タイトルは「若い夢」です。
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ちなみに、最後に登場する作品もこれとよく似ていますが、タイトルは「午後の日」。解説によると「岡本の自画像のような作品」とのこと。
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そのまま進んでいくと、会場のあちこちに夥しい数の作品が展示されていました。この作品のタイトルは「森の掟」。絵の中央、上から下に降りているのは、赤いチャックです。なにか大きな意味がありそうに見えますが、岡本太郎は「全然意味の認められない無邪気な仕事」と答えたそうです。
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これは「愛」という作品。柔らかいカーブが2対の肉体を思わせます。この写真だとわかりにくいかもしれませんが、寄り添って眠っているように見えます。鮮やかな色彩にあふれる会場の中でひときわ目を惹きました。
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これは有名ですね。「犬の植木鉢」です。背中の部分に穴が空いていて、植物が入れられるようになっています。名前を呼ばれて、振り返ったときの表情でしょうか。かわいくもあり、不気味でもあります。
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「生成」。秋葉さんのお気に入りです。美しいグラデーションは、まるで朝日が昇っているかのように見えます。
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ベトナム戦争に反対する市民の運動体「ベトナムに平和を!市民連合」がワシントンポスト紙上に掲載した反戦メッセージ広告のために、岡本太郎が描いた文字「殺すな」。シンプルな言葉ですが、とてもインパクトがあります。
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「坐ることを拒否する椅子」に坐ってみました。ぎょろりとした目ににらまれて、とても座り心地が悪かったです。
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「太陽の塔」の中にあった「生命の樹」と「明日の神話」。「明日の神話」は、原爆の炸裂する瞬間を描いた作品です。同じ作品が、JR線渋谷駅と京王井の頭線渋谷駅を結ぶ連絡通路に展示されているので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
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絵の全体像はこちら。とても大きい作品です。
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岡本太郎の最後の作品はこの「雷人(未完)」。80歳を超えた画家が描いたとは思えない、エネルギーに満ちあふれた作品です。
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すべての作品を見終えて、会場を出て通路を歩いていると、こんなかわいいオブジェが展示されていました。
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最後までサービス精神にあふれた展示会でした。12月28日まで開催されているので、興味のある方は東京都美術館までお運びください(完全予約制となっていますので、あらかじめ公式サイトでご予約ください)。
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