熊野三山(くまのさんざん)は、和歌山県にある熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の三つの神社からなる霊場です。昔から後続や貴族、僧侶、庶民に崇敬されており、多くの人が参拝に訪れています。
参拝道である熊野古道は、ユネスコの世界遺産に登録されており、世界的にも注目されています。昔は、あんなに狭い道を徒歩で歩いたんだと思うと、本当にすごいなと思いました。
秋葉が特に注目したのは、熊野三山の「熊野十二所権現」と呼ばれる12柱の神々です。この神々は熊野三山の御祭神ですが、仏名も配しています。
例えば、①熊野牟須美大神、事解之男神は千手観音、②速玉之男神は薬師如来、③家都御子大神は阿弥陀如来、④天照大神は十一面観音、⑤忍穂耳命は地蔵菩薩、⑥瓊々杵尊命は、龍樹菩薩、⑦彦穂々出見尊は如意輪観音、⑧鵜葦屋葦不合命は聖観音、⑨軻遇突智命は文殊菩薩・普賢菩薩、⑩埴山姫命は毘沙門天、⑪彌都波能賣命は不動明王、⑫稚産霊命は釈迦如来というようになっています。これは、神仏習合を取り入れた結果ということです。
明治以降、日本政府は神道と仏教を分離し、一般的にも異なる物として認識されるようになっていますが、熊野三山は日本古来の神道と二本に伝来した仏教徒が融合し、お互いに影響しあったことが感じられる貴重な場所になっています。
実際、熊野那智大社は、青岸渡寺に隣接しており、全く別の施設とは感じられません。神社と寺ですが、それぞれが一体となって霊場を構成していることが感じられます。そういった意味では、神仏習合を実際に感じられる希有な場所だと思います。
ぼく自身、「国宝大神社展」(2013年4月:東京国立博物館)で「春日鹿曼荼羅」(鎌倉時代)を見たときに、神仏習合に興味を持ちました。これは、春日大社の御祭神「武甕槌命」が、常陸の鹿島から鹿に乗って春日野に影向したという伝説に基づいた図ですが、神と仏、曼荼羅という組み合わせに驚いたんです。熊野三山は、それよりももっとダイナミックに神仏習合を感じることができました。
また、熊野三山はそれぞれ、自然への畏敬の念みたいなものが感じられました。おそらく自然信仰からはじまったのではないかというような気持ちにもなりました。宗教施設や文化、自然、それぞれの観点から楽しむことができました。
交通の便が悪いのが難点ですが、皆さんにもぜひ足を運んで頂きたい場所です。
熊野大社
熊野速玉大社
熊野那智大社
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