【車旅】哲学に浸る「西田幾多郎記念哲学館」

バンワーク

ゴールデンウィークの北陸旅で、石川県も回りました。以前、バンワークでこの地を訪れたときは、金沢周辺と白山比咩神社を巡りました。

そのとき西田幾多郎記念哲学館に行けずに悔しい思いをしましたが、今回、ようやく念願を果たしましたので、そのときのことをお話いたします。

西田幾多郎は日本有数の哲学者で、代表的な著書である「善の研究」は広く知られています。私が敬愛する哲学者、鈴木大拙とも深い親交があり、西田が75才でその生涯を終えたとき、大拙が号泣したというエピソードは有名です。

私が西田幾多郎の哲学に触れたのも、鈴木大拙がきっかけでした。大拙と西田の哲学は互いに足りないところを補完しあっているような関係で、東洋大学の前学長である竹村牧男氏は「どちらの思想を理解する上でも二人一緒に研究した方が良い」と説明していらっしゃいました。

では西田幾多郎記念哲学館に話を戻しましょう。この建物は、西田が生まれた石川県かほく市にあります。建物の設計は建築家の安藤忠雄が手掛け、とても現代的なデザイン。なかには「考える」ことをテーマにさまざまなコーナーが用意されています。展示室1の「哲学へのいざない」コーナーは、考えを促す仕掛けがたくさん用意されていました。

ほかにも西田幾多郎に関する資料や書などが展示されており、西田の生涯に触れることができます。そのフロアの奥には「空(くう)の庭」という空間があり、切り立ったコンクリの壁の上に四角く縁取られた空を眺めることができます。ちょっと不思議な体験でした。

西田幾多郎の著作はもちろん、さまざまな哲学者の著書が保管されている図書室もあります。時間に余裕があれば、奥に用意されている椅子に座って気になる本を読むこともできます。

エレベーターで展望ラウンジにのぼると、周囲の風景が一望できる空間が開けました。このソファに座って思索するのも良さそうです。

この施設はまるで哲学のテーマパークのようです。哲学三昧を楽しみたい人は、ぜひ一度訪ねてみてください。たっぷり頭を使った後は糖分が欲しくなりますが、そのときは2階のカフェに足を運べば、美味しいスイーツを楽しめますよ。

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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