秋葉です。少し前に、気になった事件がありました。それについてちょっと考えてみたいと思います。
新潟県データ10万件消失事故 拡張子を小文字にしたかったのはなぜか 県に聞いた – ITmedia NEWS
“新潟県で4月9日、公文書管理システムに登録した公文書データ約10万件が消失する事故が発生した。県によると、システム保守を担当していた事業者が、ファイルの拡張子を小文字にする新機能を追加したことが事故の一因という。”
ファイルの拡張子を小文字に変更しただけで、結構な被害が生じています。なぜファイルの拡張子を小文字にしたのかというと、
“県では、データの集計作業のためにマクロ付のExcelを使用しているという。このマクロは拡張子が小文字でないと正常に動作しない仕様だった。”
とのこと。つまり、エクセルマクロを動かすためにファイルの拡張子を小文字にしたかったことが原因のようです。似たような問題は、これからあちこちの企業でも起きるのではないかと思っています。
マクロは業務を効率化するのに有効な手段です。しかし、その前提となっているのは、現状のシステムやマクロの動作を理解している人が担当しているということ。そうしないと、システムの改変やトラブルがあった際に修正や対応ができません。
もし、異動などで担当が変わる場合でも、新しい担当者はこれまでの担当者同様マクロの動作を理解し、コードを読み解いておく必要があるでしょう。それが難しい場合、システムのリプレイスも視野に入れる必要があったのかもしれません。
これまでの仕事は、業務知識があればなんとかなりました。しかし、デジタルを使って効率化し始めている企業や団体は、デジタルに関する知識も必要になっているのだと思います。
このような問題が起きないためにも、社員・職員のITリテラシーの大幅な向上やルール作りなどをしっかりとしていく必要があります。
新潟県は、今回の事件でデータが消失し、大変ことになってしまいました。企業や団体は、こういった事例から様々なことを学ぶことができます。デジタルやシステム、テクノロジーなどについて「知らない、分からない」と言っていた人も「自分ごと」として捉え直し、リスクヘッジやリスクテイク、業務効率や生産性向上などに意識を向けていく必要があるかもしれません。「ITはわからない」では、通用しない時代になっているのです。
ちなみに、鳥取:対話型AI 職員使用禁止:地域ニュース : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)といったニュースもありますが、AIについても、リテラシー向上やルール作りをしておかないと、同じような問題が起きます。テクノロジーが急速に進化し、市民権を獲得しつつある中、人側の対応も考え直す必要があります。