ディベートという新しい挑戦

スタッフコラム

最近、ディベートの勉強会に参加しています。ディベートとは、異なる立場や意見を持つ人々が議題について議論し、説得力のある主張を争う活動(ゲーム?)のこと。一般的にはチーム戦で行われ、「学校制服の必要性」や「社会的メディアの影響力」などの議題について、肯定側と否定側が意見を交わします。

ディベートにはさまざまなやり方がありますが、私が参加しているのは即興型ディベート。即興型は事前の準備時間が限られていて、チームメンバーはその場で主張のポイントやストーリーを整理しなければなりません。参加者は自分の立場を柔軟に変えながら、さまざまな視点から議題にアプローチします。

実際にやってみて、自分の意見にあまりこだわりすぎないほうがうまくいくと感じました。ディベートでは、相手の立場や視点を理解しつつ、論理的に説明する能力が求められます。自分の信念、あるいは言いたいことが強すぎると、それがノイズとなり、筋道を失ったり不要な点を強調しすぎたりしてしまいがち。相手にわかりやすく伝えるためのバランスが重要になります。

相手の反論に迅速に対応し、説得力のある主張を維持するスキルも求められます。私には相手の反論にすぐ納得してしまう癖があり、ディベートで不利に働く場面が多々ありました。しかし、反論を理解しないまま自論を主張するのも違います。相手の反論を理解し、ある程度納得した上で、「しかし本当にそうだろうか?」「それは限られたケースにおいての話ではないか」など疑問を洗い出し、自分の意見と比較しなければなりません。私に欠けている部分という自覚はあるので、これから回数を重ねてクリアしていくつもりです。

よくネットで「論破」という言葉を見かけます。この言葉には、相手の矛盾点を突き一気に攻め込むイメージがありますが、私の浅いディベート経験ではそういったシーンを目にすることがありませんでした。むしろチームメンバーで緻密に積み木を積み上げ、相手が積み上げた積み木を観察して、それがどういう構造になっているのか、私たちの積み木とどこが違うのかを丁寧に比べていくようなイメージです。

もちろん勝敗を重要視するスポーツのような競技ディベートもあります。しかし私はあまり勝敗に関心がなく、複数名で積み上げられる積み木の行方のほうに興味を惹かれます。自分一人では到達し得ない形が見えてきたときに感じる感覚は、哲学カフェに参加したときに感じる楽しさと近いのかもしれません。

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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