前回は生成AIの基礎知識について解説しました。第2回となる今回は、生成AIと効果的に対話するための技術「プロンプトエンジニアリング」について詳しく見ていきます。プロンプトエンジニアリングとは、AIに対して最適な指示を出し、望む結果を得るための技術です。ChatGPT、Claude、M365 Copilotいずれを使う場合でも、この技術の善し悪しが出力の質を大きく左右します。
効果的なプロンプトの基本原則
生成AIとの対話で最も重要なのは、明確で具体的な指示を出すことです。たとえば「良い記事を書いて」という漠然とした指示ではなく、「IT初心者向けに、クラウドストレージの利点について800文字程度で解説する記事を書いて。見出しを3つ程度入れ、専門用語は極力避けてください」というように、具体的な条件を示すことで、質の高い出力を得られます。
また、生成AIは文脈を理解する能力を持っていますが、人間ほど柔軟ではありません。そのため、記事の目的、対象読者、求める文体、長さ、構成などの情報は、できるだけ詳しく伝える必要があります。特にM365 Copilotでは、既存の文書やデータと連携させる場合、参照してほしい情報や活用方法について、明確に指示を出す必要があります。
目的別プロンプトの組み立て方
記事作成のプロセスに応じて、効果的なプロンプトの組み立て方は変わってきます。企画段階では「○○業界における△△の課題について、記事のアイデアを5つ提案してください。それぞれ100文字程度で概要を示してください」といった指示が有効です。この出力結果を基に、人間が取り上げるテーマを選定し、さらに掘り下げていく形が望ましいでしょう。
構成を考える段階では、「○○というテーマで、ビジネスパーソン向けに2000文字程度の解説記事を書きたいと考えています。読者が実践できる具体的なノウハウを含めた構成案を示してください」といった指示が効果的です。生成AIは豊富な知識を基に、論理的な構成を提案してくれるでしょう。
実際の執筆段階では、「以下の構成に基づいて、第一章の文章を書いてください」といった形で、段階的に指示を出していくことをお勧めします。一度に完成原稿を求めるのではなく、セクションごとに生成して確認しながら進めることで、より質の高い記事に仕上がります。
プロンプトの改善とブラッシュアップ
最初から完璧なプロンプトを書くことは難しいため、出力結果を見ながらプロンプトを改善するという使い方を推奨します。たとえば、最初の出力が専門的すぎた場合は「もう少し平易な表現で書き直してください」と指示を出し、逆に内容が浅い場合は「○○の部分をより具体的に、事例を交えて説明してください」といった形で調整していきます。
特にClaudeは、このような細かい調整に対して柔軟に対応してくれます。また、ChatGPTは対話の文脈を踏まえた提案を得意としており、「この部分をもっと魅力的な表現にするにはどうすればよいですか?」といった質問にも、具体的なアドバイスを提供してくれます。
生成AIならではの特性を活かすコツ
生成AIは、大量の情報を瞬時に処理し、異なる視点からの提案を行うことができます。この特性を活かし、「同じ内容を、初心者向け、中級者向け、上級者向けの3パターンで書いてください」といった指示を出すことで、読者層に応じた表現の違いを学ぶことができます。
また、M365 Copilotの場合、既存の文書やデータとの連携が強みです。「この会議資料の内容を、ブログ記事用に書き直してください。その際、専門用語は一般向けの表現に置き換えてください」といった指示により、社内文書の外部向けコンテンツへの転換も効率的に行えます。
次回は、これらのプロンプトエンジニアリングの技術を活用した、実践的な記事制作の手法について解説していきます。プロンプトの作成は、試行錯誤しながら自分なりのノウハウを積み重ねていくことが重要です。本記事を参考に、ぜひ実践してみてください。