おめでとう、子供たち。
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「病院にいったほうがいいんじゃないの?」
ためらいがちに母がそういったのは、秋のはじめ。その頃には耕治は、学校の授業から二ヶ月は遅れていた。母の顔が、日増しにほっそりと痩せていく理由はなにより自分のせいだとはわかっていた。でも、どうしようもない。
「……朝飯、ベッドで食べるよ。学校には電話しといて」
そのたび不機嫌にそう答えた。自分の症状が“病気”なんかじゃないってことは、誰よりも耕治がいちばんよく知っていた。そんな耕治に、ついに母は何もいえなくなった。
カレンダーの日付を黒いマジックで塗りつぶしていくような、無用の日々。
耕治はいつも、昼頃に目を覚ます。寝起きの気分は最悪だ。ようやくからだを動かせるようになってから、階下にいって昼食をとる。食事は、住み込みで家政婦をやっているタカコさんがつくってくれる。夕方までは朦朧とした気分ですごし、それからは部屋で本を読んだり、パソコンをいじったりしている。
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