おめでとう、子供たち。
6
弘美は耕治の部屋の中に入ってくると、ベッドの端にちょこんと座った。ディスプレイは見つめたままだ。親指で着信履歴の表示をいじっている。
耕治は椅子を引っ張り出してきて、弘美の前に座った。弘美がちらりと顔をあげる。
「同級生っすよー」
「同級生が叙々苑の焼肉に誘ったりするの?」
弘美の親指の動きがとまった。顔をあげて、面白そうな顔をする。
「メール、盗み読みしたんすね。悪趣味。コウくんは、いつからお節介焼きになったんすかー」
「高いんだぜ、叙々苑。高校生じゃ奢れねぇよ」
知らないうちに、すねたような口調になる。
「お金なら持ってる人だから大丈夫っすー。新聞社の人だし。サブカルじゃないっすよ。大手っす」
「何歳だよ」
「四十二歳」
「父さんとそんなかわんないじゃん、歳」
弘美は上目遣いに耕治を見つめ、にこっと笑った。
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