おめでとう、子供たち。
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見るとはなしに、その顔をぼんやりとながめた。耕治は、タカコさんのことを何もしらない。三週間前、突然家政婦として家にやってきて以来、個人的なことなどほとんど話していない。出身地はどこかとか、子供はいるのかとか。そういえば、年齢さえも知らなかった。わかるのは四十代ということくらいだ。
母の喜美枝は、不動産屋で客相手の商売をしているということもあって、若く見せる化粧のコツを心得ている。ふたりの子供たちは厚化粧と陰口を叩きながら、そのくせ若く見える母親を、ひそかに誇らしく思っていた。
それに比べれば、さして歳がかわらないはずのタカコさんは、いかにも地味に見えた。化粧っ気がないのは仕事だからしかたないにしても、あまり他人の目を意識していないのだろう。小柄だが、がっしりした肩幅は、いかにも体育会系に見える。うつむいて、ステーキにとりくんでいるタカコさんの鼻筋はすうっと一筋通っていて、若い頃はきっと美人だったんだろうな、なんてことを思った。
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